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1月6日 新年ご挨拶
1月28日 風評被害と便乗値上げ
2月8日 帆立、深刻な品不足
2月16日 ・角丸のだし
      ・「分かる」ということ

2月21日 「分かる」ということ、補足
3月14日 マスコミ取材考
3月15日 続・マスコミ取材考
4月19日 GW営業などのお知らせ
4月23日 「人権擁護法案」について
4月28日 めん類飲食店の標準営業約款について
5月28日 ネギが不味い季節
5月30日 誤ったイメージ
5月31日 麺のコシと固さ
6月13日 夏メニュー開始
6月30日 経営の勉強
8月4日 お盆休みのお知らせ
8月9日 名古屋グルメ
8月10日 バックアッププレー
8月11日 外国産カブトムシ(売れるという誘惑)
10月17日 牡蠣入りはじめます
11月2日 マスコミとの付き合い方
11月11日 カメラ撮影されるお客様へ
11月12日 新蕎麦が入ってきません。
11月16日 新蕎麦入荷!お待たせしました!
12月17日 今週は忙しかった…
12月19日 交流勉強会
12月27日 年末年始の営業ご案内

12月27日 今年も、あと一営業日を残すのみとなりました。
       プライヴェートなことですが、PCを入れ替えまして、
       ようやく、前のPCでの環境を取り戻しつつある状態です。

       そんなわけで、年末年始の営業のご案内が遅れてしまいました。
       12月28日まで営業
       1月5日より営業いたします。
       暮れは、充分に品物をご用意するつもりですが、
       毎年、早めに売切れ仕舞いとなってしまいます。
       お越しになられる方は、お早めにお願いいたします。


12月19日 去る11月25日金曜日、愛知県麺業青年会の、交流勉強会を実施しました。
       だし屋さん、醤油屋さん、味醂屋さん、粉屋さんなどなど、さまざまな業者さんをお招きして、
       「ざるそばとカレーうどん、10%クオリティアップ」を目標に、討論しました。
       内容は割愛しますが、大変勉強になる会でした。
       メーカーさんの視点も、他のうどん屋さんの視点も、
       すごく私には刺激になりました。

       いくつか、新しい試みをはじめています。
       まだ店でお出しする段階ではなく、試作段階ですが、
       なかなかいいレヴェルのものもあります。
       またこのページでお知らせしますね。

       ●

       先日、私の母校でもある冨士中学校から、K君がうどんの作り方の学習に訪れてくれました。
       今は総合学習という時間があって、思い思いのテーマに沿って、
       各所に赴き、実際の現場を見て学習するそうです。
       K君は、うどんの作り方、というテーマで、角丸を選んでくれました。
       で、一通り名古屋手打技法の工程をやって見せたあと、
       質問を訊いてみると、「おいしいうどんを作る秘訣は?」と訊かれました。
       あまりの直球に、正直たじろいで、
       「手間を惜しまないこと」と答えました。
       うどん粉の封をいちいち閉じること、粉も水も食塩濃度も計量すること、
       工程のひとつひとつを大事にやっていくこと、当たり前の仕事を当たり前にやること、
       その日に売り切れる分だけを作ること、など、説明を加えた上で、
       「すべて、面倒な仕事だが、仕上がりに差が出るから手を抜いちゃだめ」
       と答えました。
       それはもちろん間違いじゃありませんが、
       それに加えて、「自分の仕事を疑うこと」、これもとても大事なことです。
       もっといいやり方があるんじゃないか、もっと美味しくなるんじゃないか、
       そう考え、それを実践することも非常に大事だと思います。
       私も、毎日毎日、そう思いながら、新しいことを試しながら、基本を大事に仕事しています。
       交流勉強会も、そのひとつです。
       K君、すいません、補足です。
       

 

12月17日 11日の日曜日、中京テレビ「PS」で紹介されたせいか、
       急激な冷え込み(皆様風邪をお召しになっていませんか?)が原因か、
       とにかく今週は、角丸創業以来、最多のお客様にお運びいただきました。
       ありがとうございます。
       売切れなどでご迷惑をおかけしたお客様、申し訳ございません。

       今週は、ひたすらうどんを作って、売って、しんどい1週間でした。
       ちょっと疲れ気味です…

       テレビの放送をご覧になった方、どのような感想をお持ちになったか、
       メールいただけると幸いです。

       角丸サイトの常連さんならお分かりだと思いますが、
       私はみそ煮込の麺は、切る工程で専ら機械を使って製麺します。
       テレビでは手打を前面に出していましたが、
       そこはご了解願います。
       嘘吐き、と思われるのはイヤですからね。

       

       ●

       次回は、愛知県麺業青年会で実施した、交流勉強会について書きたいと思います。
       予告していた、まずいラーメンの話は、もういいかな、と思っています。


11月16日 予定を変更して、新蕎麦の話を書きます。

      前回更新して、すぐあと、今週の月曜日に、新蕎麦が入荷して、
      早速、ワタライ製粉さんが届けてくださいました。
      やっぱりいいですね。
      香りも、ひねとは感動的に違いますが、
      余分な匂いがしないところが最大の長所だと思います。
      蕎麦本来の、仄かな柔らかい香りです。
      もちろん、つながりも最高。
      最近の角丸の蕎麦に幻滅していたお客様、お待たせ致しました!


11月12日 新蕎麦の季節がやって来ているんですが…
       今年は新が入らずに困っています。

       去年、国産の蕎麦はほとんど獲れず、
       (一部獲れたものは良質だったようですが、角丸には入りませんでした)
       輸入粉に頼っている状態ですが、
       今年は中国の流通にややこしい業者が入っているようで、
       日本に新蕎麦がほとんど入って来ていないそうです。
       ただでさえ、国産では、総需要の2割しか賄えないのに、
       輸入の大部分を担う中国がそれで、蕎麦粉屋さんは大変だそうです。
       角丸も、もうしばらく様子を見てから、対応を検討したいと考えています。
       それまで、粉の状態が決して良くない中、
       できる限りいい蕎麦をお出しできるよう、精進いたします。

       あと1週間、1週間経てば、秋蕎麦の質のいい新蕎麦が、
       (少なくとも国産では)出まわるはずです。
       ※新蕎麦はもう出ているじゃないか、と仰る方がいらっしゃると思いますが、
        本当に質のいい新蕎麦はこれからです。
        水分まで安定してくる最高のものは、冬を待たなければ入手できません。
        緑色がかった、色味のいい蕎麦はあっても、質のいい新蕎麦は、
        ゆっくり待たなければ、と、私は思います。
       ※色のいい蕎麦、と書きましたが、
        中には蕎麦の葉っぱを混ぜたり、クロレラを混入したりして、
        色味をごまかす店もあります。全国的な超有名店でもそういうことがあります。
        それがすべて悪いとは言いませんが、
        不自然な色味は、着色と見きるようになると本物です。
       閑話休題。
       1週間後を目安に、中国産を見限って北米大陸産を試すか、
       国産を仕入れるか判断しますので、もう暫くご勘弁願います。
       それまでも、決して恥かしくない蕎麦を打つつもりですので。

       次回は、前に予告した中から、ずば抜けてリクエストの多い、
       まずいラーメン屋の話を書きます。
       皆さん、このページに、私の毒舌を期待する方が多いようです。
       私は悪いものは悪いと言っているだけで、そういう気はないのですが…


   

11月11日 角丸には、遠方からも、お客様がお越し下さいます。
       ガイドブック片手に、ようやく探し当てて下さるお客様も、よくお見受けできます。
       で、最近多いのが、写真を撮影されるお客様。
       店内撮影禁止…なんて、そんなことは申しませんが、
       一言だけ、苦言を申し上げます。

       だいたい、こんなパターンです。
       みそ煮込が席に運ばれる、ひとしきりの歓声、
       それからカメラを探して、パチリ。
       あっちの席に皆で移動してパチリ。
       今度は別の方のカメラでパチリ。

       楽しく召し上がっていただくのは結構ですし、
       お金を出していただいたものを、どう食べていただこうと勝手なのですが、
       「のびちゃうよ…」と、私は内心、気が気でなりません。

       麺は、お出ししたその時に召し上がっていただくものです。
       なるべく、お出ししたら、早めに召し上がっていただきたいと思います。

       願わくば、みそ煮込の思い出は、アツアツを食べた、
       味の記憶として残してくださるとありがたく存じます。
       お写真を撮る方は、さっと済ませて召し上がっていただくとよろしいかと存じます。
       まったく、余計なお世話の一言ではありますが。


11月2日 時節外れではありますが、万博期間中はいつもよりも多くのお客様にお運びいただき、
      誠にありがとうございました。
      特に9月は、真冬に匹敵するほどの日もありました。
      押しなべて見ると、万博来場者のうち、
      10,000人に1人くらいが角丸を訪れて下さったように思います。
      20万人の日なら20人見当ですね。
      ガイドブック片手に、路地を探してくださる方が多く、ありがたい思いで一杯でした。
      嬉しい悲鳴でした。ありがとうございます。

      今回、改めて実感したのは、マスコミの強さですね。
      万博前、今年の1月2月3月、各出版社の万博ガイド本の取材を、
      すべてお受けしたのですが(3月のこのページで書いてますね。)、
      やはりそのおかげかなあ、と思っております。

      もちろん、商売をしている以上、売上が上がるのは嬉しいことです。
      その大前提は当然として、私はみそ煮込の地位を向上させたいといつも思っています。
      某有名チェーンの独特のクセ(固いとか、辛いとか)を嫌う人は結構多くて、
      二度と食べない!って話をよく耳にします。
      できれば、そういう方に召し上がっていただきたい。
      また、みそ煮込を初めて召し上がる方は、角丸へ来ていただきたい。
      その思いが年々強くなっています。
      そのためには、マスコミともっと上手く付き合ったほうがいいと感じます。
      影響力は絶大ですから。

      私の心にある、マスコミアレルギー的な気持ち。
      あのテレビ局はお断り、あの番組は無視、あの雑誌は出入り禁止、
      もちろん、嫌な思いをさせられて、そういうことに決めたのですが、
      こっちが依怙地になっているうちに、相手はすっかりスタッフが入れ替わったりしています。
      いつまでもガードを上げるばかりでなく、気に入らなかった点をしっかり伝えて、
      いい関係を築けるようにしたい、そう思います。

      ただし、ガードを下げる訳ではありませんよ。
      テレビなら、こちらの指定した営業時間外の時刻を遵守していただく。
      やらせは応じません。
      雑誌の方も、もっと麺に関する理解を深めていただきたい。
      口幅ったいようですが、お互い、いい仕事ができるようになり、
      いい関係が築けるといいな、と思います。


10月17日 サボっているのは分かっていましたが、忙しさを言い訳にしているうちに、
       2ヶ月が経ってしまいました。
       楽しみにご覧下さる方、申し訳ございません。

       とっくの昔に夏メニューも終わり、
       (ご愛顧ありがとうございました。)
       明日から、牡蠣入りをお出しできるようになりました。
       ご存知のように、角丸の牡蠣はしっかり煮込んで供しますが、
       大ぶりのまま、縮まないのが自慢です。
       味噌が一段とまろやかになりますので、ぜひご賞味下さい。

       サボっている間に、万博も終わりましたしね。
       万博のこと、それから、万博帰りに起こし下さるお客様のこと、
       業者さんとの新たな関係を模索して始めた交流会のこと、
       まずかったラーメンの話、などなど、
       書きたいことばかり、たまってしまいましたが、
       そうですねえ、これから週イチくらいの更新を心がけますので、
       皆様、またお付き合いくださるとありがたく存じます。

       とりあえず、今日はそれだけです。

8月11日 本日はお盆前の最終営業日でしたが、
      予想よりはるかに多くのお客様にお運びいただき、ありがとうございます。
      14時すぎを以って、全品売り切れご免にて閉店致します。
      せっかくお運び下さったのに、召し上がっていただけなかったお客様、
      大変申し訳ございません。
      又のお運びをお待ち申し上げます。
      16日より営業再開致します。

      ●

      先日、ホームセンターを訪れたら、外国産のカブトムシやクワガタをたくさん販売していました。
      私はびっくりしました。
      聞くところでは、数年前に解禁されたそうですね。
      すごいなあ、こんなごついやつは見たことがないなあ、と観察しながら、
      ふと、嫌な思いを持ちました。
      こんなの売っていいのか?と思ったのです。
      あんなごつい昆虫を販売して、当然野生化するものも出るでしょうから、
      生態系は大丈夫なのでしょうか?

      売れる、ということは悪ではありません。、
      しかし、売れればそれでいい、というものでもないような気がします。
      需要があるから販売するわけです。
      でも、需要があれば何でも売っていい、とは私は考えません。

      世の中には健康を損なうような食材もあります。
      見た目には野菜がたっぷりなように見えても、
      冷凍もののほとんど栄養価のないような料理もあります。
      科学的に造った、得体の知れない酒もあります。
      ともすれば、売れるから、ということを基準にして、
      食材を選びがちなところですが、
      やはり、もっと長い眼、大局的な視野をもって、
      ものを吟味することが重要だと思います。

      外国カブトムシが売れて喜んでいたら、国産のカブトムシが絶滅していた、なんて
      ことがないように!
      まがいものの蕎麦が、手軽だしそこそこ売れる、と喜んでいたら、
      本物の蕎麦が絶滅したなんてことのないように!
      今売れればいい、ではなく、将来的にも売れるように。
      時代を超えて愛されてきた角丸の味を守るものとして、
      これからもずっと愛していただけるものをお出ししてまいります。
      売れる、という甘い甘い誘惑に負けず、
      自分の中にしっかりした基準を持ち続けて、お盆明けからも、また頑張って参ります。


8月10日 阪神ファンの方には申し訳無いのですが、
      昨日のドラゴンズには痺れました!
      もう、鳥肌立ちっぱなしでした!

      お昼は高校野球、夜はプロ野球、いつも感心するのは、
      バックアッププレーを徹底していることです。
      例えば、キャッチャーは、打球が飛ぶとすぐに一塁へダッシュします。
      送球がそれた場合のバックアップに走るわけです。
      強いチームほど、それがしっかりできている。

      プロ野球ならおそらく、100回に1回もないであろう、
      悪送球に備えて、いつもダッシュを繰り返すのです。
      まあ、いつも大丈夫だから…と、気を抜いている部分があるんじゃないか。
      あそこまでいつも真摯にやっているだろうか。
      快勝の痛快なゲームを観ながら、
      自分の仕事に考えて自戒しておりました。
      やはり、いい仕事に欠かせないのは、
      派手なパフォーマンスでなく、地道な基本だと思います。
      初心って、つい忘れてしまうんですよね…


8月9日 相変わらず暑いですね…きっと今がピークなんでしょうね。
     冷たいメニューが多く出て、バラエティーに富んだ注文をいただくので、
     ややお疲れ気味です(嬉しい悲鳴)。みそ煮込がほとんどの冬が恋しい近頃です。

     ●

     今日は、名古屋名物グルメの話を。
     前から気になっていたのですが、名古屋の食っていうと、
     どうしてキワモノ的扱いをされるのでしょうね?
     何にでも味噌!とか、抹茶小倉トースト、金粉コーヒーというような
     キワモノメニューばかり取り上げられている気がします。
     実際には、そういうものは、名古屋でもキワモノであり、
     一般的ではないんですけどね。
     私など、「あんかけスパ」ですら抵抗を感じます。
     私の回りでも、そういう方って多いですけどね。

     「M」という(伏字ですよ)喫茶店がその道で有名で、
     小倉抹茶パスタなど、えげつないメニューを売りにしているのが元凶なのでしょうか。
     自虐的に他地域の方に吹聴する名古屋人気質のせいなのでしょうか。

     名古屋風手羽先、味噌カツ、台湾ラーメン、天むす、ひつまぶし…
     どれも、それほど特異なメニューではないはずなんですけど。
     普通に美味しいですよ。
     (まあ、ひつまぶしなんかは、B級鰻を美味しく食べる調理法のような気がしますけど。)
     みそ煮込も、某有名チェーン店のせいか、キワモノ的に扱われるのが非常に残念です。
     名古屋の人間は、あんな固い、辛い、値段の高い麺を日常的に食べていません。
     名古屋人が昔から、普通に食べているみそ煮込の代表店として、
     私は声を大にして言いたいと思います。
     角丸のみそ煮込を食べてから判断して欲しい、と。

     もう一つ残念なこと。
     名古屋手打うどんがマイナーなことです。
     日本一の手間をかけて、日本一の技術で打ち上げるうどんなのに…
     現在、それを実践している店が少なすぎるんでしょうね。
     十年、二十年後、名古屋手打がもっとメジャーになりますよう、
     様々な活動をしてまいりたいと思います。
     そして、名古屋食はキワモノなんて、誰にも言わせないように!


8月4日 まだ更新したばかりだと油断していたら、もう一ヶ月以上空いていたなんて!
     月ニ回更新の公約を破って申し訳ございません。
     せめて、これからお盆まで、精一杯更新して参ります。

     今回はとりあえず、お盆休みのお知らせです。
     8月12日(金)〜15日(月)まで、お盆休みをいただきます。
     16日より平常営業いたします。

     今後とも、このページも、角丸も、よろしくお付き合い願います。


6月30日 暑くて参ります…雨も降りませんし、本当に異常ですよね。
      でも、「暑いときこそ熱いものを食べなきゃ」とおっしゃってくださるお客様にパワーをいただき、
      梅雨と夏を乗り越えて参ろうと思います。

      6月は、勉強になることがたくさんありました。
      このページで紹介できる話は、追々紹介しようと思いますが、
      まず、「わか松」の服部さんの経営講習会がありました。
      半ばに東京へ研修に行き、
      かんだやぶそばさんでは、調理場にお邪魔して、仕込みを見学し、お蕎麦もいただきました。
      東京お台場で開催された、「大江戸麺まつり」も見学しました。
      先日曜には、東支部の支部長さんにも、じっくりお話を伺うことができました。

      私は正直、経営に関してはあまり興味を持っていません。
      エラそうに言う話ではないのですが。
      今の私の興味は、いいものを作ること、そこに集中しています。
      材料のいいものを、採算を度外視して選んでしまうのです。
      この間も、「昔仕込」という、今まで使っていた味醂より、
      倍ほど高いものを使うことにしました。売り値は変わらないので、実質儲けは減りますもんね。
      前にも書きましたが、だしもいいものを選んでます。
      コストを削減するという考え方も大事だと思いますが、
      商売第一の考え方には、まだなれません。
      40歳を過ぎてから、商売のことは考えようと思っています。

      でも、商売のやり方は、一つではない、そんな当たり前のことを感じるようになりました。
      例えば、高価な食器を三段重ねにして、それで売価を高くする、という話も聞きました。
      美味しいものを追求するんじゃなくて、売れるものを作ればいいんだ、とも聞きました。
      すごく面白い話だと思います。
      でも、私には向かないような気がします。
      私は、単純に、自分が美味しいと思うものを、中身重視でお出しする、
      それだけを基準にやっていこうと思います。
      味に関する引出しを多くして、もっと技術を磨いて、
      その上で、40を回ったときにそう思えば、経営的な勉強をするでしょう。
      マーケティングとか…やっぱり一生やらないかな…

6月13日 今日は本当に暑いですね…

      先週から、角丸でも夏メニューを始めました。
      ころきしめん、おろしうどん、手打ひやむぎ等です。
      中でも、「ささめ」という、細うどんざるは、
      一部のお客様にとても好評で、
      まだやらないの?という催促をいっぱいいただきました。
      数量限定なので、売り切れることも多々ありますが、
      まだお試しになられていないお客様、ぜひ一度ご賞味下さい。
      夏のお勧めです。

5月31日 昨日書いた内容を補足します。

      まず、「Kや」さんの件。
      私は黒い蕎麦がすべて不味いと言っているのではありません。
      外側の鬼皮まで挽き込んだ、所謂「挽きぐるみ」粉を使った田舎蕎麦は、
      とても風味があるものです。
      白い蕎麦、黒い蕎麦、太いの、細いの、日本各地には様々な蕎麦があります。
      どれを好むかは、まったく好き好きです。
      「好み」の範疇です。
      しかし、「Kや」の蕎麦はまがい物です。ひどいものです。
      同じ業界の人間として、好き好きで片付けてはいけないように思います。

      もちろん、すべての批評は、好みの問題だと言えると思います。
      好きか、嫌いか、それ以上の批評は難しいということです。
      ある程度食べないと分からないのも事実です。
      願わくば、麺に関する理解がより深まることを期待して、いつもこのページを書いています。

      同じように、昨日、弾くコシ、もっちりのコシ、という話を書きましたが、
      これも好みの範疇。
      粗蛋白(グルテン)の多い粉を使うと、弾くようなものになりやすく、
      澱粉の多い粉を使うと、もっちりしやすい。
      もちろん、同じ粉を使っても、加水やこね方で、
      タイプを打ち分けることだって、できます。
      ある程度手打をやっておられる方なら、可能です。
      どちらかと言うと、名古屋のうどん店は、弾くようなうどんが多いですね。
      これも、ある程度食べてないと判別は難しいですね。
      二つ並べると、すぐにお分かりいただけるのですが。

      コシと固さ、これに関しても、誤解されている方が多いようです。
      時々、角丸でも、うどんの麺固め、とご注文なさる方がいらっしゃいますが、
      これはできません。
      早く茹で上げると、塩が抜けきりません。
      塩が抜けるまで茹でると、コシはもちろんありますが、
      固いうどんではありません。
      私は固いうどんを打つほど、うどん打ちが下手ではありません。
      (固いうどんって、素人の打つうどんです。杉箸を噛んでいるようなうどん。)
      中華麺や、煮込みなら、固さを調節できるんですけどね。
      固さとコシ、うーん…
      目の前にうどんを置けば、話は早いんですが…。

      固さとは歯触りの固さ。
      コシとは、分かりやすく言うと、弾力。
      (あくまで分かりやすく言ってますよ。)
      ざるうどんなんかが一番分かりやすいと思います。

      ●

      ちなみに、私は、白い粗挽きの蕎麦粉が好きです。
      うどんは、歯を弾かず、歯に吸いつき、圧し返す強いコシをもちつつ、
      あくまで柔らかいうどんが好きです。
      私の好みは、店でお出しするものに反映されています。
      ざるうどんを召し上がっていただければ、分かりやすいのではないでしょうか。

5月30日 久しぶりに友人から、木曽福島でゴルフをしよう、と誘われたのはいいのですが、
      帰りに「Kや」で蕎麦を食べよう、と言われたのには閉口してしまいました。
      昨年9月21日のこのページで、そのまずさを強調しまくった、あの「Kや」です。
      割と、美味しいものを食べるのが好きな友人なのに…。
      友人からの美味しいうどん・蕎麦情報を、とても大事にしている私ですが、
      あの店だけは二度と訪れようとは思いません。

      信州、行列…という、あの店のイメージにはまったのか。
      それとも、蕎麦に対して、ああいうものだというイメージを
      持ってしまっているのかも知れませんね。
      だとすると、そういう人が、私の蕎麦を食べても、
      (私の蕎麦では役不足なら、名古屋松寿庵の蕎麦にしましょう)
      美味しいとは感じないでしょうね。
      何しろ、あれが本物の蕎麦だと思いこんでいるわけですから。

      そういう誤ったイメージというのは、意外と一人歩きしているのだと感じます。
      先日も、讃岐うどんについて、「あれは固いから」とおっしゃった方がいらっしゃいましたが、
      とんでもない勘違いで、讃岐うどんは柔らかいものです。
      弾くようなコシよりも、もっちりしたコシが讃岐うどんで、
      誤解しておられる方って、結構多いような気がします。
      讃岐の肩を持つつもりはありませんが。

      2月に、組合で蒲郡のうどん店の食べ歩きをしたときの話です。
      一軒目は、大したうどんではありませんでした。
      茹でが悪く、おそらく茹で上げたあと、水で締めていないような感じを受けました。
      熱いものも冷たいものも、すべて同じタイミングで茹で上げているようで、
      私の注文した、ころうどんは、塩が抜けていなくて食べられたものではなかった。
      しかし、店の造りは立派で、中庭には趣がある。
      一応は手打らしい麺になっている。これ見よがしな手打実演台もある。
      素人が食べたら、この固い(まずい)うどんを、手打らしいコシがある、
      なんて評価をするんじゃないか、と話していました。
      対して、ニ軒目は、カントリー調の造り。
      喫茶店のような造りの店です。
      でも、うどんは機械打ちながら、柔らかい中にコシがある、まあまあ高いレヴェルでした。
      機械打ちでは、最高レヴェルでしょう。
      私たちは、プロなので、訪れたほぼ全員が、簡単に優劣をつけられましたが、
      一般の方は、どういう評価を下すのか。
      イメージというもの、実体というもの、どちらが勝つのか。
      私は非常に興味深いです。

      ●

      みそ煮込は固い、芯が残ったもの、あれも間違ったイメージの代表例です。
      あの有名な一軒(チェーン)が特別なだけです。
      回りに間違ったイメージを持つ方がいらっしゃったら、
      ぜひ、角丸へご案内してください。

5月28日 まだ更新したばかり、と安心しきっていたら、もう一ヶ月も経ってしまったのですね。
      いつもこのページにお付き合いくださる方、更新の催促メールを送ってくださった方、
      申し訳ございません。そして、ありがとうございます。

      ●

      GWのころは暑くて、もう角丸の季節も終わったかと思っていましたが、
      五月半ばから涼しい日々が続いて、我々としては助かっております。
      ですが、そろそろネギの質が悪くなってきていて、私は頭が痛い毎日です。
      固いネギが多くて…固いのはまだましですが、
      なかには、ネギ独特の臭いでなく、香料のような臭いのするネギがあり、
      あれは最悪です。気をつけていても、毎年いつか当ってしまいます。
      私は年中、週に5〜6回はみそ煮込を食べています。
      営業日は、昼か夜に必ず食べるのですが、やっぱりあのネギに当ると不味い。
      なるべくお客様に当らないように、心がけたいと思いますが、
      どうしてもこの時期は冬のようには参りません。

      もっと後になると北海道からハウス栽培のネギが入ります。
      これは結構値が張りますが、ずいぶん質が良くなります。
      それまで、愛知のネギの中から、質のいいものを探して悪戦苦闘の日々が続きます。
      業者さんも、角丸の厳しい注文に困っているようです。

      ●

      先ほども書きましたが、私はほぼ毎日みそ煮込を食べます。
      その他、蕎麦は打ちあがったときに、ひと箸食べますし、きしめんやうどんも、
      ひとすじふたすじ口へ入れます。
      私は、さまざまなことを考え、試しながら麺を打ち、だしをとり、味つけをしております。
      その結果をテストするには、やはり食べるのが一番。
      自分で食べて、その日気をつけた部分をチェックする。
      そこで感じたことを、調理にフィードバックしております。
      毎日、紙一枚分の厚みだけでも前へ進みたいと思います。
      気長に感じる方がいらっしゃるかも知れませんが、
      味に関しては、これこそが最良で最短の道筋であると、私は思います。

4月28日 ここ数日、暑さのせいか、蕎麦が動き始めました。
      四月にしては多めに打っているのですが、売り切れが多く、ご迷惑をお掛けします。
      本日は予告通り、「めん類飲食店の標準営業約款」について。

      ●

      11月より、「めん類飲食店の標準営業約款」制度が導入されます。
      クリーニング店や理容・美容店では、すでに導入されているそうです。
      要するに、ウチの店はいい店、安心できるですよ、というのを、
      お上(組合)が認定するかたちのものです。
      どういう店が認定されるかというと、
      @自家製麺を使用し、その旨を店内に表示し、
      A自家製のつゆを使用し、その旨を店内に表示し、
      B蕎麦を置く店の場合、蕎麦粉の割合が70%以上であり、その旨を店内に表示し、
      C麺類店賠償責任保険に加入し、
      D衛生基準を満たす店、だそうです。
      当初案では、さらに
      ・カロリー表示
      ・調理師を二名以上配置
      ・ごみ減量、リサイクルの推進
      ・外国語表記
      ・バリアフリー化
      ・受動喫煙防止策を講ずる、等等…
      非常に厳しいものでしたが、他飲食店組合の約款が緩いものであることから、
      条件を大幅に緩和し、前記5項目に削減されたようです。

      私はこの約款が非常に気に入らない。
      角丸は5項目すべてを満たしています(店内表示はしてません)が、
      この約款に賛同する気はありません。

      CDはともかく、
      自家製麺ならいいのですかね?
      蕎麦粉が7割ならいいのですかね?
      表示してあれば、いい店だと評価していいのですかね?
      自分の口で確かめることもなく!

      自家製麺なら、大量に作り置きして、冷凍にしてもいいわけです。
      アルバイト店員に作らせてもいいのです。
      もちろん機械だろうが、なんだろうがいいのです。
      私が時折、このページで書くように、小麦粉を使ったらこまめに口を折り曲げて、
      湿気による質の変化を防ぐ、なんて、そういうレヴェルではない基準ですよね。
      基準を満たしたところで、味に関して、なんの保証にもなっていません。
      また、蕎麦粉70%以上では、出前を主にする店は約款に登録できませんね。

      自家製麺とか、蕎麦粉70%とか、そんな表示は無意味です。
      (ところで、なんで70%なんでしょうね?80%のほうがいいような気も?
      その線引きもよくわからない…)
      何も書かなくても、美味しいか、不味いか、お客さんは判断してくれているはずです。
      味という最高の基準があるのに、
      どうして変な基準が要るのでしょうか?

      クリーニング屋さんや美容院なら、そういう目安があってもいいように思いますが、
      食べ物屋さんには要りません。
      味で判断できるからです。

      何より、食は多様です。好みは千差万別。
      それに対応して、多様な麺類店があります。
      蕎麦に特化した店、手打こそ命の店、お酒を充実させる店もあれば、
      出前に活路を見出す店もあります。
      多様な店があるから面白いのに、変な基準を作って
      画一化する必要がどこにあるのでしょうか?

      麺類組合の全国組織の会長は、これは組合を強くする制度で、
      求心力になる、とおっしゃっていましたが、私はまったくそうは思いません。
      お客さんに浸透しないように思います。
      約款を目当てに店を選ぶ人はほとんどいないと思います。

      この約款は11月からスタートしますが、角丸は登録しません。
      私はこんな約款より、もっとはるかに厳しい基準を自分に課しております。
      しかしそれを店内に掲示はしません。
      完成品にすべては表れているからです。分かる人には分かってもらえます。
      皆様も、どうぞこんな約款を信用しないで下さい。
      今まで通り、ご自分でお好きな店を選んでください。


4月23日 正直、今日書く話題は、政治に関することなので、
      これまで、このサイトで書くことを自重してきました。
      このサイトでは、食にまつわる話だけを書く、と決めていたのですが…。
      ご存知の方も多いでしょうが、「人権擁護法案」についてです。
      年初より、危惧していましたが、ここ数日の動きを見ると、
      危惧、では済まなくなるような気がしております。
      何より気になるのは、マスコミでほとんど取り上げられることなく、
      法案が成立しそうなことです。
      ひとりでも多くの方に、この問題に関心を持っていただきたく、
      以下のようなリンクをはります。
      私は、賛成か反対か、どちらかに誘導したいのではありません。
      下記リンクには、多少偏った姿勢を感じるものもあります。
      ただ、いち日本国民として、この重要問題を、ひとりでも多くの方に知っていただき、
      ご自分の頭で考えていただければ、幸いに思い、番外編として書きました。

      サルでも分かる?人権擁護法案
      西尾幹二のインターネット日録
      人権擁護法案の解説(Flashアニメ)

4月19日 更新があいてしまいました。
      楽しみにお付き合いくださる皆様、申し訳ございません。
      今回は「麺類店標準営業約款」という悪制度について書くつもりでしたが、
      更新があいた間のお知らせを先に書きます。
      近々、「約款」についても私の考えを書きますので、少々お待ち下さい。

      ●

      ゴールデンウイークの営業は、例年通り、暦通りの営業となります。

      ●

      今年はテレビの影響か、例年以上にご愛顧いただきました牡蠣入りですが、
      シーズン終了になりました。また秋をお楽しみにお待ち下さい。

      ●

      4月頭から、名古屋手打研究会のイベントとして、
      「手打麺まつり」を開催中です。
      お食事の際にお渡しする、応募券にご記入いただきますと、
      抽選で日帰り旅行が当ります。
      詳しくは、手打研究会HPをご覧下さい。

      ●

      ばたばたしたページになりましたが、本日は以上です。
      麺類店の先輩諸氏からも、お会いしたときに、
      「HP参考になる」とのお言葉を頂戴し、嬉しいとともに身が引き締まる思いです。
      これからも一生懸命綴って参りますので、
      気長にお付き合いください。

3月15日 昨日マスコミについて書いて直後、2件も取材依頼がありました。
      もう今年何件目か…。正直、疲れてきました。
      でも、私の取材に対するスタンスは変わりつつあります。
      以前はテレビに対するアレルギーのような拒絶感がありましたが、
      今はそれほどでもありません。
      こちらの都合に合わしてくださること、こちらを紹介したいという熱意があること、など、
      生意気にもいくつかの条件はつけますが、
      基本的にお受けするようにしています。
      角丸は名古屋を代表するみそ煮込の店だという自覚があるからです。
      商売上メリットの大きい取材、そうでない取材がありますが、
      名古屋代表として、なるべくお受けしたほうがいいように思います。

      実は今度受ける取材(テレビ)は、台湾のテレビです。
      北京語で、東南アジア、アメリカ、オーストラリアなどにケーブルで発信されるそうです。
      そこまでグローバルな対応ができないから、とお断りしたのですが、
      どうしても、という熱意に圧されました。
      初の体験です。
      海外にも名古屋の手打を伝えたいと思います。
      (正直、これなんかも商売上のメリットが薄いと言えるでしょう)

      ●

      昨日書きこんだ話を、後でよく考えたら、
      別にマスコミに限った話ではありませんでした。
      先日、某コンビニ全国チェーンから、
      きしめんを数種類プロデュースして欲しい旨、依頼がありました。
      その方が言うには、まず契約、そして商品開発の監修、その後販売、という流れでしたが、
      私はそれに異を唱えました。
      まず、開発ではないか、と。
      コンビニに全国展開するという、いい麺を作るには厳しい条件のもとで、
      私のレヴェルをクリアする、いいものができるなら、話に乗ってもいい、
      逆にできなければご破算です、と申し上げました。
      私は、当たり前のことを言ったつもりです。
      角丸を安売りする気はありません。
      儲かればいいとは考えません。
      角丸の名に恥じぬものができるかどうか、そこが一番肝心だと思うのですが、
      どうも、それは通じなかったようです。

      角丸では、みそ煮込ところきしめんをスーパーで展開しています。
      あれにしても、店と同じとまでは言わないが、
      あるレヴェルをクリアするまでに、どれだけの時間がかかったか。
      いくら時間がかかっても、クリアしない以上、私は乗る気はありませんでしたから。

      (目の前に儲け話をぶら下げられても)簡単に名前を貸さないこと、
      (昨日書いたように)取材者のイメージ通りに適当な返事をしないこと、
      こうしたことは、ごく当たり前だし、
      どちらかと言えば、誠意ある態度だと思うのですが、
      なぜか、こうしたことでムッとされたり、
      気まずくなったり、生意気だと思われることが多いのです。

      ●

      愚痴っぽい話はこれくらいにします。
      次回は、麺類店にとって、間近に迫った大きな問題、
      麺類標準店約款について、書きます。

3月14日 新空港・万博と、愛知県は大きなプロジェクトが目白押しで、
      そのせいか、元気だと言われて、全国から注目されておるようです。
      出版各社は、こぞって万博のガイド本を出版するようで、
      また各社とも名古屋グルメのページを設けるため、
      数ヶ月間、取材ラッシュに追われる毎日です。

      いい取材、悪い取材、いろいろございましたが、
      中には驚かせるような記者もいました。
      私はなるべく誠意をもって答えたいので、
      おっしゃることが私の意と違うと、とことん説明してしまいます。
      それが気に食わない方もおみえになるようです。
      「そのとおり、こだわってやってます!」と適当に受け流せばいいじゃないか、
      と言う友達もいますが、私は真摯に答えたいのです。

      例えば、よくあるパターン。
      「老舗の三代目として、伝統の味を守りつづけているんですね」と、よく言われます。
      これ、違和感があるんですね。
      大正から営業している店です。
      時代は昭和から平成に移り、豊かになり、食に対する意識も変わっています。
      昔と同じ味では、きっと今、お客様に愛していただくことは不可能でしょう。
      私は常に、さらに美味しくならないかと研究しています、と答える、そんなやり取りが数回続くと、
      明らかに困ってしまう編集者もいらっしゃいます。
      自分でストーリーを作って来ているので、そこから外れるともうパニックなのです。
      そうです、その通りです、そう言えばスムーズな取材になるし、
      別に誰も困らないと分かりつつ、でも、私は自分の考えをできるだけ正確に伝えたい。
      その結果、非常に気まずい思いをすることも多々あります。

      みそ煮込を食べたことがない、とおっしゃる方がいました。名古屋在住の方です。
      で、私は困惑しながら、うどんと煮込みの製法の違いや、
      他店の煮込みと比較しての角丸の特徴などを説明していたら、
      「そういう作り方を訊きたいんじゃなく、味わって感想を書きたい」とおっしゃる。
      でも、みそ煮込初体験の方では、角丸のみそ煮込が他店とどう違うか、、
      麺が太いのか、固いのか、だしが効いているのか、
      辛いのか甘いのか、何も分からないと思うんですね。
      そう申し上げたら、「じゃあ、初めて食べる自分はどういう記事を書いたらいいのか」、
      私は、「そういう方は、本当は書かないほうがいいんでしょうね」と答えました。
      とても気まずい時間を過ごしましたが、私は正論を言っているつもりです。
      例えば、ファッションに疎い私が、服飾関係の取材に行くようなものです。
      何を訊いていいのか分かりません。何を書けばいいのか分かりません。
      頓珍漢な質問をして、相手を閉口させてしまうかも知れません。
      結果、その人の言ったままの記事しか書けないでしょう。
      そんな記事には説得力も重みもありません。
      プロの仕事ではない。
      プロとして、角丸のみそ煮込を記事にしていただきたい、
      それだけのことなのに、半数近くは「?」って人が来ます。

      ●

      昨日、テレビを眺めておりましたら、
      空港のお蕎麦屋さんの話をしておりました。
      蕎麦教室で有名な方が、初めてご自分の店を出されるそうです。
      その方の蕎麦は食べたことがありませんが、
      テレビを通して拝見しても、粗挽きで質のよい蕎麦粉(ちょっとホシが多く見えたが…)を使い、
      非常に美味しそうでした。
      その方がおっしゃることも、例えば、
      「細打ちの真髄は食感にあるから、自分に甘くするな」とか、
      「割れるのを恐れるな」とか、そういった内容のことをおっしゃっていました。
      すごく理にかなったお言葉です。
      白系の粗挽きの細打ちをやる者として、同感です。
      粗い蕎麦粉は難しい。
      ちょうどいい加水量が50だとします。
      加水が49では、割れて切れて、蕎麦にならない。プツプツのへんなもの。蕎麦とは呼べません。
      そこが粗挽きの怖さで、それが怖いので加水を多めにしたいところですが、
      51だと、もはや、だらけてしまい、せっかくその蕎麦粉を使う価値はゼロです。
      最高は49と50の中間。割れる切れる、ぎりぎりで製品になるはざま。
      その加水量こそ、最高に蕎麦を引き立てます。
      そのことをおっしゃっていて、ぜひ食べてみたくなりました。

      持ち上げておいて落とすようですが、
      その後は気に入りませんでした。
      これ見よがしに、不出来な蕎麦を捨てていました。
      あれ、どうやってるんでしょう?
      「今から捨てますから、カメラさんスタンバイお願いします」とか言うんでしょうか?
      演出が見える、あざとさが見えます。
      私だって不出来なものは捨てたり、従業員の賄いにしたりします。
      けど、そんなことは本来恥ずべきことで、テレビの取材が来ている日だったら、
      こっそり捨てたい気分だと思うのですが。
      ああいうアピールなんですよね。
      手打職人が全員倒れて、弟子が集まって夜通し蕎麦を打つ話を、
      美談化していましたが、あれもあざとい。
      あんなこと続きませんよ。
      演出過剰が鼻につきました。
      あんなことしなくても、蕎麦の質だけで勝負して欲しかった。

      私が取材を受けて伝えたいことはただ一つ。
      みそ煮込に偏見を持っている人も、大好きな人も、
      とにかく一度角丸のみそ煮込を食べて欲しい、ということ。
      それ以上の余分な知識も、過剰な演出も必要なく、
      食べてもらえば分かる人は分かる、という自負。

      演出も、編集者ご用意のストーリーもすべて拒絶します。
      私はこういう姿勢こそ真摯に取材と向き合う姿勢と考えますが、
      それを理解してもらうのは、なかなか難しいようです。

2月21日 前回、「分かる」ということ、という話を書きました。
      今回はその補足です。

      ご存知のように、私は手打をやりますが、
      効率の問題から、すべての麺を手打でこさえているわけではありません。
      手打は非常に優れた技法であり、
      特に名古屋手打技法は、全国でももっとも丁寧な仕事です。
      それは確かなのですが、作業効率を考えると、機械の力を借りるのも、
      悪いことでは無いように思います。
      むしろ、たくさんの粉を水回しする際などは、ミキサーを使用したほうが
      綺麗に水回しができるように感じます。
      (もちろん機械の種類にもよりますが)
      要するに、疲れを知らない手が何本もあるようなものですから、
      二本の手だけで仕上げるよりも、すばやく水を行き渡らせることができます。
      しかし、機械打ちしか知らない人は、いつまで回したらいいのか、
      その判断が正確にはできないように思います。

      私が機械を使うときは、手打しているときと同様、
      その場を離れるなどもってのほか、目を離すことはありません。
      眼で状態を確認して、あたかも掌に粉の感覚が感じられるほど、
      粉の状態をよく見ています。
      もちろん時々機械を止めて、掌の感覚も使います。
      その判断には、手打の経験が必須です。
      手打の経験を基に、どのくらいで機械を止めればいいのかが「分かる」のです。

      手打をかじった人なら、それなりの機械の使い方をできるでしょうし、
      極めた方なら、機械を完全に使いこなせると思います。
      結局は、おいしいものを作るのが目的なので、
      あまり製法にこだわりすぎるのもいかがなものかとは思いますが、
      最低限、機械を使う場合でも、手打の修行を積むほうがいいように私は思います。
      安易に機械で作れるので、麺類店の主人でも手打をできない方が
      非常に多いのが実情です。
      そして、機械に任せきりにしないで、眼を離さないことです。
      機械だからどうこう、ではなく、使い方を問題にするべきだと思います。
      機械の使い方を「分かる」ためには、製麺の基本である手打を「分かる」必要があると思います。

      ●

      以上にも、これまでにも書いてきたように、
      「分かる」ということはすごく大事なことだと思います。
      経験に裏打ちされて「分かる」ことは、職人の財産です。
      しかし、それよりもっと重要なことがあって、
      誰でも知っている基本を忘れないというのが、最重要だと私は思います。
      小麦粉を使ったら、口を折り曲げて空気に触れないようにする、とか、
      少量ずつこまめに麺を作る(大量にストックしない)、とか、
      そういう、誰でも知っている基本をいつまでも大事にすることこそ、
      本当に大事なことです。
      いくら「分かっている」人でも、そこをおろそかにするようでは、
      結果的にいい麺をお出しすることはできません。
      だしを二つのうち一つ選択する場合には、
      自分の感覚で選びますが、もう片方の魅力を捨ててしまうことになります。
      あるメリットを選んで、別のメリットを捨てるわけですが、
      基本を大事にすることには、デメリットがありません。
      面倒だ、という以外のデメリットがないことなので、
      採用するしかないように思います。

      時には、私も面倒に感じる時があります。
      そんなとき、安きに流れぬよう、自戒として、今日書いたことを忘れないようにしたいと思います。

      ●

      金トビ志賀さんの工場を見学させていただきました。
      非常にためになることが多くありました。
      そのことはいずれ青年会ページに書きたいと思います。

2月16日 お気付きになられた方がいらっしゃるかどうか分かりませんが、
      先週から角丸のだしを変えました。
      以前より、本鰹と宗田鰹の割合をかなり増やしています。
      非常に薫り高い、自分ですごく気に入っているだしがとれています。
      (一日に何度も「いいなあ」と口に出ちゃうくらいです)

      前から時々、今回採用した割合を試して、好感触を得ていたのですが、
      値段がおよそ1.5倍にはね上がるので、躊躇していました。
      原価を削って利益を上げる、そういう時代ですし、いいものを使うからと、
      簡単に値上げできるご時世ではありませんから。
      ですが、出費を抑えて利幅を増やすよりも、よりいいものをお出しして、
      お客様に多く運んでいただく、そういう考え方で行こうと決心しました。
      角丸は名古屋を代表するみそ煮込の店です。
      代表らしく、より最高のものを提供できるよう、追求して参りたいと思います。

      ●

      以前観たテレビで、ラーメン店の主人が、
      自分のところで使っているスープの材料を列挙しておられました。
      ありとあらゆるものを使う方で、動物系で鶏がら、豚骨、牛骨、
      魚系で、鰹、鯖、鰯、ムロ、野菜を加えると30種類くらいを使う、と豪語しておられました。
      私は、その人は何がいいのか分からないのだと思います。
      分からないから、思いつく限り何でも入れているのだと思います。
      おそらく、そのスープを飲んでも、何を活かしたいのかわからない、
      ピントのボケた味になっていることでしょう。

      ベースとなるものがあります。
      それを活かすために、他のものでより際立たせるということがあります。
      角丸の今回のだしで言うと、
      ムロを引き立たせるために、逆にムロの分量を減らし、鰹の香りをプラスすることで、
      ムロの存在感を際立たせることができているように思います。
      納得しがたい話でしょうが、何度も自分の舌で確認して、配合を決めました。

      「そうやっていい味にしても、お客さんには分からない」とおっしゃる方がいます。
      その考え方は、大きく間違っていると私は思います。
      お客さんを基準にするので無く、自分を基準にするべきではないか。
      お客さんを基準にしたら、どうやって良し悪しを判断するのでしょう?
      自分で全責任を持って味を吟味する、その味を気に入ってくださる方が、
      足を運んでくださる、そういうものではないかと思います。
      お客様が完璧に理解できるというのは、レアなケースです。
      プロではないお客様は、漠然と、美味しい不味いをお感じになるのだと思います。
      (我々プロが思っている以上にお客様の口は肥えていますから、
      侮ってはいけませんが。)
      その漠然とした感じ方が大事で、それに向って我々は吟味を重ねるのです。
      それより何より、ミもフタもない言い方になりますが、
      「お客さんには分からない」と言う人は、自分が実は分かっていないんじゃないでしょうか?

      ただ、「分かる」というのにもレヴェルがあります。
      このページを書き始めた頃や、それ以前から、
      私は「分かった」つもりで味見を繰り返してきました。
      今、当時の自分を見て、分かっていなかったなあ、と感じます。
      おそらく数年後の私は、今の私にだめ出しをするでしょう。
      それでも、ずっと現時点での最大限の力で吟味して判断する、
      それしかできないのだと思い、それに全力を傾けます。

      また、例えばだしでも、一回のテストで分かること、
      一年使って分かること、十年使って分かることがあります。
      本当を言えば、十年使わないと判断できないというのは正論ですが、
      それでは前へ進めません。
      テストの1度きりの理解では浅い理解だとは思いながらも、良し悪しを判断し、
      仮合格を与え、長く使ってみる、その間にも新たなテストを欠かさない、
      そういう気の遠くなる作業の先に、究極や至高はあるのだと思います。
      私はいつか、ちゃんと「分かる」ようになれるのでしょうか?

      一歩近づくと、一歩前進すると、見えてくるのはゴールでなく、
      足りないもののような気がします。

      ●

      土曜日の20時からだったと思いますが、フジテレビ系で、
      ナインティナインの番組をやっています。
      その番組内のコーナーで、シンクロをもじったようなコーナーがあります。
      鼻センをして目をつむった状態で、何かを食べ、それが何かを当てる、
      面白いコーナーですが、
      観ていてびっくりするくらい当りません。
      皆様にも経験がおありだと思いますが、風邪をひくと、何を食べているのか
      さっぱり分からなくなることがあります。
      まさにあの状態。
      こうしてみると、私たちは舌で味わっているようで、
      多くを嗅覚に頼っているという事がよく分かります。
      今後はいい匂い、いい香りを重視していくのも大事なのかも知れません。
      今回改良しただしは、非常に薫り高いものになっています。
      そういう意味では、非常に理にかなった改良と言えるのでしょうか?

2月8日 28日のこのページで書きましたが、帆立の品不足が深刻です。
     去年、台風が日本海を通ったため、帆立の稚貝がみんな流されてしまったそうです。
     角丸で使う帆立貝柱は、大ぶりなため、あのサイズに育つには3年必要だそうです。
     現在、入荷量が1%未満(!)にまで落ち込んでいるので、
     相場が急騰しているそうで、残念ながら、角丸でも、
     帆立の個数を減らす対応をすることに致します。
     値段は据え置きですが、4個入れていたのを、3個に減らします。

     前述の理由により、3年間は高値が予想されます。

     ただし例外があり、輸入物は大丈夫です。
     しかし、試してみましたが、水分が多すぎて使い物になりません。
     中国産のものは、冷凍状態から解凍したところ、
     三分のニが水分でした。
     少なくとも、角丸では使えません。
     大ぶりで、刺身で食べられるほど鮮度のよいもので、
     煮こんだときに水分が出すぎないもの。
     私の基準に達するものは、非常に品薄で、高値です。

     今後、さらに値が上がることもあるかと思いますが、
     その時は扱いを中止します。
     あまり高値をつけるのは嫌ですから。

     ●

     書きたいことが溜まってきました。
     麺類標準店約款の話、先日食品衛生責任者講習に行って感じた話、などなど…
     ぼちぼち書いていきますので、また、お付き合いください。

1月28日追記 昨年12月暮にも書きましたが、
      1月30日(日)18時より、テレビ東京系全国ネットで角丸が紹介されます。
      ご覧になられた方、またお知らせ下さいね。

1月28日 スマトラの大津波から1ヶ月が経ちました。
      被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
      まったく海の向こうの話だと思っていたら、
      海老の価格という形で跳ね返ってきました。
      海老はほとんどが東南アジアからの輸入ですからね。
      角丸でもそうです。
      泥水で養殖された海老は、病気が発生しやすく、
      餌に抗生物質を混ぜるので、どうしても味が薬くさくなってしまいます。
      角丸では、真水で生育された無投薬の海老を使用しています。
      私は、この海老がとても美味しいと思います。
      この、自分で判断するというのが非常に大事なことだと思い、
      何度も書いてきたのですが、また次回、あらためて書こうと思います。
      今回はそれとは違い、風評と便乗について。

      ●

      今回の海老の卸価格の値上げですが、
      私はもう少し静観したほうがいいように思います。
      角丸でも、売り値は据え置きます。
      というのは、今まで商売をやってきて、
      いかに便乗値上げが多いかということを思うからです。
      台風がやってくると野菜や海産物を値上げしますが、
      本当にそうなんだろうか?と疑問を抱く時があります。
      確かに防ぎようの無い、本当に被害が甚大な時もあるでしょう。
      そういう時は、高値が長期間続きます。
      次の収穫まで品薄が続きます。
      去年の蕎麦がその一例でしょう。

      その一方、大騒ぎして値を吊り上げながら、
      おそらく在庫を抱えてしまったのでしょう、
      すぐに値が戻る場合があります。
      流通の過程で、誰かが買い占めたり、
      値上がりを待って出荷を遅らせたりという魂胆がある場合があります。
      もっともらしい言い訳ができるので、便乗するわけです。
      後者のケースが圧倒的に多い。

      我々商売をやるものは仕方ないとして、
      一般の方は、不自然に値上がりしたものには手を出さないのが賢明でしょう。
      悪徳業者を儲けさせる必要はありません。
      我々もおかしいと思えば叩きます。

      海老の高値はそのうち、収束します。
      …と思います。
      帆立のほうが深刻なようで、実は角丸の売り値では僅かながら赤字が出てきていますが、
      これももう少し現状のまま行こうと思います。
      一時的に、帆立の数を、4個入れていたものを3個にするとか、あるかも知れませんが、
      その時はこのページでも、店頭でもお断りしてからにしようと思います。
      値段を上げるのはつらいご時世ですから、
      なるべく据え置きで行きたいのですが…

      ●

      スキー場のゲレンデ食堂で感じたこと、
      冒頭で書いた、判断に関すること、
      その他いろいろ、書いていこうと思います。
      更新が少なくても、気長にお付き合いください。

1月6日 明けましておめでとうございます。
     本年もよろしくお願いいたします。

     ●

     正月お会いした親戚や友人、電話で話した方、年賀状で交信した方、
     色々な方に、「HP見てるよ」「最近更新してないね」と声をかけていただきました。
     その声を励みに、今年はせめて、月二回更新を最低目標にしようと思います。

     角丸も5日より営業を開始しました。
     昨日今日と、かなり多くのお客様にお運びいただき、ありがたく思っております。
     私自身、正月の間、みそ煮込を食べたくて仕方ありませんでした。
     そうだなあ、みなさん待っててくれたんだなあ、と感激すると同時に、
     期待を裏切らないものをお出ししようと、思いを新たに致しました。

     私どもはいつも、休み空け前日から仕込みに入ります。
     今年も4日に仕事していたら、「営業してますか」電話を山ほど頂戴しました。
     がっかりした声をお聞きするのは心苦しいのですが、
     市(いち)の都合もありますし、私どもも三が日くらいは休みたいので、悪しからず…

     本年も、私の拙い文章、そして情報ですが、お暇なときにお付き合いください。
     本年が、皆様にとっても、私どもにとっても、よい年でありますように…