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1月6日 新年ご挨拶
1月11日 しょうもない話
1月26日 安いだけのラーメン
1月28日 新たな発見
2月3日 初代角丸・日比野高治
2月27日 牡蠣
3月18日 11年目の始まり
3月22日 今シーズンの牡蠣終了
4月4日 成分表示の話
4月27日 耳障りのいい言葉
5月24日 親父
5月30日 取材者の最低限のハードル
6月22日 交流勉強会
6月26日 味の評価について
7月31日 お盆休みのお知らせ
8月7日 アミノ酸の誤解
8月10日 味を科学する?
8月22日 水分補給について
8月30日 仲間の廃業
9月7日 端境期の蕎麦
9月16日 ぴーかんテレビ & digmeout
9月28日 ぴーかんテレビのオンエアを観て
9月29日 ぴーかんテレビのオンエアを観てA
10月23日 山形全国大会
10月24日 新蕎麦入荷
10月25日 mixi
10月26日 90点の味
10月28日 新蕎麦とひねの差
11月9日 農業から見る食の問題
11月27日 手打体験
11月30日 経済最優先への警鐘
12月6日 経済優先問題の補足 & 広瀬隆さん
12月21日 年末年始営業のお知らせ
12月29日 本年の営業終了(ありがとうございました。)

12月29日 おかげ様で、本日をもちまして、年内の営業が終了いたしました。
       私の予想より少し早く、14時にて売り切れ御免となってしまいました。
       その後も多くのお客様が覗いてくださいました。申し訳ございません。

       今朝は人通りが少なく、幹線道路も空いていたし、地下鉄もがらがらだったそうです。
       正直、ちょっと仕込みすぎたかな…と思っていました。
       本当に、お正月のオフィス街の、閑散とした様相でしたから。
       ところが、開店したらどこからともなくお客様が現れて、ずっと行列状態でした。
       本当にありがたいことだと思います。
       常連さんは、お勘定の時に、「いつも美味しいうどんをありがとう」と仰っていただき、
       遠方よりお越しいただいたお客様には「本当に美味しかった!」と仰っていただき、
       私は幸せなうどん屋だなあ、と実感しております。
       この皆様のご厚情に報いるために、ますます美味しいものをこさえることができるよう、
       勉強し、精進して参りたいと思います。
       それに勝るご恩返しはないと信じて、味を良くするよう、努力いたします。
       2007年も、角丸をよろしくご愛顧くださいますよう、お願いいたします。

       末筆ながら、この一年、私が係わったすべての方の、
       益々のご健勝とご多幸を心より祈念申し上げます。


12月21日 たくさんの方々に、年末年始営業のお問い合わせをいただきました。
       告知が遅くなりまして申し訳ございません。

       年末は、12月29日(金)まで営業します。ただし、売り切れ終いとさせていただきます。
       年始は、1月5日(金)より平常営業いたします。

       12月29日は、夕方まで営業するつもりで仕込みますが、あまり自信がありません。
       14時ごろまでは大丈夫だと思いますが、それ以降はいささか心配です。
       お越しになられる方は、なるべくお早めに、そして、お電話で確認いただくと助かります。

       よろしくお願いいたします。先ほど店内にも張り出しました。やっとです、すいません。


12月6日 今週は冷え込んだおかげで、たくさんのお客様にお運びいただきました。
      ありがとうございます。
      昼過ぎまで込み合って申し訳ありませんが、角丸は毎年今頃がピークです。
      我々も早くお出しできるよう、やっておりますので、よろしくお願いいたします。

      ●

      先週の土曜日、ワインをたくさん飲んだのでタクシーを呼びました。
      角丸へタクシーに迎えに来てもらったのですが、その運転手さんが店を見て一言、
      「今日、ラジオで言ってた店じゃないか?」。
      広瀬隆さんが早速ラジオで紹介してくれたそうです。
      他のお客様も、「結構長く丁寧に説明してたよ」と教えてくださって、
      心なしか、『肉入り』を頼むお客様が増えたような…。
      広瀬さん、ありがとうございます。
      前にも書きましたが、ご自分で美味しいと気に入ってくださって、それをご紹介いただくのは、本当に光栄です。
      そんなに長くご紹介いただいたのなら、是非聴いてみたかった!

      ●

      前回、食と経済効率について書いてから、なんだかもやもやして、ずっと考えていました。
      ちょっと補足で書きます。
      大手スーパーでは、試食の時に、爪楊枝の代わりにパスタを細かく折ったものを使うようになりましたよね。
      ああいうことに、私はひっかかるのです。
      爪楊枝より、コストが安くつくのかも知れません。
      (繰り返しになりますが)経済の仕組み上、仕方ないという見方もあるでしょう。
      これが高度資本主義社会と言うものなのでしょう。
      うーん…でもなぁ…。
      やっぱり食べるものをああいう風に使って欲しくないです。

      経済面以外でも屁理屈を言えばいくらでも言えますよ。
      爪楊枝のせいで森林資源が云々とか、プラスチックの楊枝では衛生面が云々とか。
      そりゃそうかも知れませんが、それ以前の問題だと私は思うのです。
      だって、ものを刺すために作られたものではない、そうですよね?
      まず、@もったいない。
      A作った人に失礼だ。
      という理由で嫌です。
      爪楊枝はものを刺したり、歯の間を掃除したりするための道具です。
      でもパスタは違う。作った人も、原料の生産者も、おいしく食べてもらうことを前提に作っているはずです。
      それを刺す道具にしてしまっては…。
      そして、あれにひっかかっていかないと、経済的なものごとを食の分野でも優先してしまいそうで、
      いつしか平気で、口に入るものの質を落としてしまいかねないと思います。
      それが私は一番恐ろしく感じます。
      (余計分かりにくくなったかな…)

11月30日 本日、午前の早い時間にお越しのお客様が、会計終わりで突然名刺をお出しになり、
       「こういう者で、何度も来てるんですが、オンエアでお店のことを話してもいいですか?」と仰いました。
       CBCラジオ『ラジオで行こう!』パーソナリティーの広瀬隆さんでした。
       密かにアナウンサーの方のご来店も多いのですが、
       このようなお話をいただいたのは初めてでした。
       非常に光栄なことだと思います。
       ご自分で気に入っていただいて、それを紹介したいと言われる、これほど名誉なことはありません。
       一言断ってくださったことにも感謝します。

       CBCラジオと言えば…
       『聞けば聞くほど』の小高アナウンサーは、同じ大学の同期生で、学部も一緒、
       アルバイト先も一緒だったという縁で、昔は仲良くさせていただいておりました。
       そのうち、取材の関係でまた接点があるかも…と思いながら、もう10年以上会ってません。
       ラジオやテレビのナレーションで元気そうなのは伝わって来ますけど。

       ●

       先日、農業の話を書きましたが、
       テレビのニュースでは、白菜・キャベツ・大根が軒並み豊作で、生産調整が行われているそうです。
       生産調整って、つまり、棄てちゃうことです。
       これ以上、値が下がると困るので、微々たる交付金を出して、トラクターでつぶしてしまうのです。
       農家の人も、流通に乗せると箱代も送料も出ないし、ルートもないそうです。

       経済の仕組み上、仕方ないという意見もあるでしょう。
       これが高度資本主義社会だと言われれば、それもそうなのでしょう。
       でもね。
       やっぱり食べ物に関しては、経済のルールを優先してはいけないと思うんですよ。
       そりゃ、角丸だって商売です。経済活動ですから、利益を出さなきゃやっていけません。
       だけど、それを最優先しているつもりはありません。

       すべてに経済が最優先される風潮は、考え直さなきゃ、と思います。
       もったいないというのも大きいですが、効率ばかりが追求されるような気がするからです。
       これだけのコストで、これだけの収穫がある、そこにばかり眼が行く農業では困ります。
       結局野菜の中身が無い。
       いつだったか書きましたが(4月4日でした)、豆腐だって効率を最優先した、栄養の薄いものが出回っています。
       うどんだって、蕎麦だって、手抜きして、効率だけを見れば、いくらだって落とせちゃうんです。
       経済を最優先すると、身体に入るものの質が際限なく低下する。
       それが本当に怖いのです。
       私は絶対に落としたくない。そうしなければ、逆に(経済的に)やっていけなくなると思ってやっています。

11月27日 昨日は、春岡地区の子ども会のイベントで、手打蕎麦体験のお手伝いに行ってきました。
       小学生から幼稚園児まで、18名の参加者とともに、蕎麦を打ちました。
       ああいうイベントはいいですね。
       子供のうちから、日本古来の食について学ぶのは意義深いことだと思います。
       我々の業界にとっても、ああして親しんでもらうのはいいことでしょうね。

       もし、地域のイベントや学校の行事などで、手打体験をご希望の方がいらっしゃいましたら、
       遠慮なくご相談ください。
       曜日によっては私が伺える日とそうでない日がありますが、名古屋手打研究会で、
       親身に内容のご相談に乗ります。
       まずはメールをいただけると助かります。

       ●

       mixiのコミュニティ、私がここで紹介したせいかどうかは知りませんが、参加してくださる方が増えましたね。
       ありがとうございます。
       私は未だに躊躇しています。


11月9日 急激に寒くなってまいりました。
       お風邪をお召しにならないよう、充分暖かくしてお出かけください。
       みそ煮込みで内側から温めるのも手ですよ?

       ●

       先日は、このHPを見て来たとおっしゃる方が、わざわざ兵庫県からいらっしゃってくれました。
       本当にありがたいことだと思います。

       ●

       先月、山形の全国大会で聞いた話を基にして書きます。
       「食と農業をつなぐ虹の架け橋」をテーマに、
       レインボープランという地域内循環を実践していらっしゃる方の話です。
       山形県長井市を舞台に、土を基礎にする町を作ろうというプランだそうです。
       具体的に言うと、家庭で出た生ごみだけをしっかり分別して収集し、センターで3ヶ月かけて堆肥にし、
       農家はそれを使って減農薬減化学肥料の野菜作りをしていきます。
       その野菜を学校給食などに使い、また各家庭にも流通させます。そこで出た生ごみを…という循環です。
       実際に市をあげて取り組んでおられるそうで、非常に面白い取り組みだと感じました。

       そこで伺った話を全部書くと大変な量になってしまいますので…かいつまんで。
       @農業が破綻する
        農家の平均年齢は上がり続けているそうです。
        例えば、その講師の方が30代で農家に入った時、下から4番目の若さだったそうです。
        それが20年を経た現在でも、下から4番目のままだそうです。
        (このあたり、我が麺類組合にも似たような兆候が…)
        その結果、爺さん婆さんで成り立っているのが現状だそうで、その面から考えても崩壊は近いと。
        また、安い農作物が輸入されることにより、例えば米は、以前より3割減反しているにも係わらず、
        以前の80%程度の収益しか上がらないそうです。
        既に、食物自給率は、米で27%、カロリーベースで39%にまで落ち込んでいるそうです。
        この数字は、北朝鮮の半分というから、びっくりしてしまいました。

       A野菜が本来の力を失っている
        化学肥料に頼る安易な農業の結果、野菜のみてくれは悪くないのですが、
        中身が非常にお粗末だそうです。
        食品成分表というものがあります。
        2訂(’54)から5訂(’00)の間に、野菜の栄養素はかなり失われています。
        ピーマン100g中の栄養素を例に挙げると、ビタミンAは600μgから33μgに、
        ビタミンB1は0.10mgから0.03rに、
        ビタミンB2は0.07rが0.03r、ビタミンCは200rが76mgに、それぞれ激減しています。
        もちろん、これは他の野菜にもあてはまります。
        講師の方は、現代の若者の集中力がないとか、キレるとか、言われているが、当然だとおっしゃいました。
        同じ量を食べても、実質は同じ栄養を補ったことにならないのです。

       長い前置きでしたが、要するに、経済効率を重視しすぎた結果が、現在の野菜に現れているということです。
       食は人間の身体を作るものです。悪いものを食べれば状態が悪くなるし、いいものなら良くなります。
       食こそ、経済第一主義を持ち込んではいけない分野だと思います。
       そして、健康にいい野菜(他のものでもそうですが)かどうかを見分ける最良の手段は、
       食べて味で判別することだと私は思います。

       ただ、我々も商売です。道楽でやっているなら簡単ですが、私らも食べていかねばなりません。
       ある程度の経済効率を考えないと、商売は成り立ちません。
       今のところ、美味しい野菜は高価い。
       いい値段を取れる店ならともかく、値打ちにお出ししたい私らは、それがジレンマです。
       なかなかすべてをいいものにするのは、難しいものです。
       それでも、私は、いいものを出すという基本スタンスをしっかり持って、やっているつもりです。
       他地域の方は、近所に角丸がないから気の毒だ、そんな倣岸なことを言ってしまえるほど、
       お客様にいいものをお出しすることだけは守っているつもりです。

       ●

       以前にも書きましたが、最近はmixiに顔を出すことが増えました。
       角丸のコミュニティーはあまり盛り上がっていないようです。
       「角丸」でコミュニティー検索すると、かどまるのロゴのページがあります。
       ぜひ、盛り上げていただきたいと思います。
       もう少し人数が増えて、質問なんかが増えてきたら、私もコミュニティーに出現します。



10月28日 やっぱり新蕎麦はいいです。
       打ってる本人が気分が良くて仕方ありません。

       じゃあ、ひね(去年収穫のもの)と比べてどうなのか?
       一番の違いは色味ですね。
       ほんのり緑がかった色合いです。一年経つと色がぼけて黒っぽくなります。
       また、ひねですと、若干、雑味が増えます。
       余分な匂いと味がしますね。新はすっきりとした濁りのない味です。
       すっきりしている分、蕎麦本来の甘味が感じやすいと思います。

       もっとも、私どもは、ワタライ製粉さんに依頼して、
       低温恒湿で玄蕎麦を保管していただいていますし、
       製粉後は、あまり蕎麦の量が出ない角丸のことを考慮して、
       窒素充填の密閉袋で、2キロずつの小分けにしていただいています。
       品質劣化は最低限に抑えております。
       でも、やっぱり、新には敵いません。当たり前ですが。

       ただ、使う粉が新であれ、ひねであれ(きちんと管理されたひねに限る)、
       いい仕事をして、蕎麦粉の味を充分にひきだしてやれば、美味しいものができます。
       巷のまずい蕎麦は、新とかひねとか言う以前のものが多いですからね。
       色つきのうどん粉だったり、冷凍だったり、だらだらだったり。
       コンビニの蕎麦のレヴェルなら、いい粉を使うだけ勿体無いです。
       ひねで充分です。


       今年の国産の新は、そうですねえ、10段階で7〜8点くらいでしょうか。
       平均より上の出来と考えます。
       ここ数年が悪かったため、今年は特に良く感じますが、冷静になるとそのくらいだと思います。
       悪い意味じゃありませんよ。
       当たり年とまではいかないってことです。
       ただ、昨今の異常気象を考慮すると、ひょっとすると、向こう10年で最高の年かも…?


10月26日 4日連続更新!

       牡蠣ですが、先日粒が小さいと書いたばかりでしたが、
       どんどん粒が大きくなってまいりました。
       でかすぎると思われるものまで出てくる始末。
       皆様、サイズを気にして注文を控えることなく、お召し上がりください。

       ●

       ゴルフをやる方なら、この例えは分かりやすいでしょうが…。

       例えば、グリーン両サイドにハザードが迫っている場合、
       直接グリーンを狙わずに、花道にきざめばボギーは取りやすいですよね。
       そういうゴルフをすれば、100を切るのは難しくありませんが、90はなかなか切れません。
       で、80台を目指して、果敢にグリーンを狙う、その結果、スコアが100を超えることもあるでしょう。
       プロのレヴェルなら、バーディーを狙ってピンにダイレクトに打っていきます。
       その結果、安全策より悪い結果になることもあるでしょう。

       我々が仕事をする場合、あくまで商売ですよね。
       趣味や道楽ではない、ですから、100点満点ってわけにはいきづらいんです。
       友達が来るっていう時は、逆算して麺を仕込めます。
       ところが、店を開いている以上、いつ召し上がってもらえるか分からない。
       だから、商売っていうのは、こだわりっていうより、妥協ではないかと思うのです。
       100点は無理でも、80点で安定させよう、という妥協です。
       90点で安定させよう、と思うと、これが非常に難しい。
       ピンを直接狙うようなものです。いい時はバーディーでも、ボギーを打ちかねない。
       やはり、パーで行くべきなのです。
       そこがジレンマです。
       歯がゆくて。
       でも、私も90点で安定させようと努力しましたが、これが不可能に思えるほどハードルが高いのです。
       せめて80点を85点に引き上げようと努力しているつもりで、最近達成しつつあると思うのですが。

       いつか隠居した時には、いつも98点以上のものが出せるような形態の店をやってみたいものです。
       思う存分、腕をふるって。
       その時に初めてこだわりという言葉を使いたいものです。

       ただ、どの麺を100点に設定するかは、各店まったく違います。
       ある店の80点は、私の60点かも知れないし、その逆もあるかも知れません。
       100点満点を引き上げていく努力も非常に重要だと思います。
       80点以上で安定させる努力と並行して、やっていかなくては勝ち残れない努力だと思います。





10月25日 先日、新蕎麦はまだ?とお声をかけて下さったお客様がお見えになり、
       パートさんから、新蕎麦が入った旨、申し上げたら、
       「HPでチェックして、新蕎麦を食べに来た!」とおっしゃっていただいたそうで、
       誠にありがとうございます。
       まだ書いたばっかりですからね。
       その方は、1ヶ月近く更新のなかったこのページを、何回も覗いていただいたんでしょうか?
       頭の下がる思いです。
       そういう方のことを思い、せめて、私の力の限り、いいものをお出しすることで報いたいと思います。

       当初は、このHPを、まったく見てくれる人がいないだろうと思い、
       敢えてカウンターをつけませんでした。
       へこんで、気持ちが萎えてしまうのが嫌で…。
       でも、随分あちこちからHPに関するお声をいただいて、
       意外と多くの方にご覧いただいているんだな、と嬉しく思います。

       私は最近、mixiなるものに手を出し始めたところですが、
       まだいまひとつ、何をするところなのか、量りかねております。
       私は店のことや食のことは、このページで、
       それ以外のプライヴェートのことや、私の好きな音楽やスポーツのことはmixiの日記に書こうかな、
       と思っておるところです。
       皆様はどのようにお使いなのでしょうか?
       そしてなんと、mixiには、角丸のコミュニティーがあって、最近書き込みが増えてきているようです。
       mixiをやっていらっしゃる方、一度覗いて、書き込みしていって下さい。
       私も覗いているのですが、せっかくの角丸ファンの場所に、
       店の人間が書き込みしていいものか、これも量りかねておる次第です。




10月24日 お待たせしました。
       先週より、みそ煮込み牡蠣入り始めてます。
       ただ、思ったより今年は小ぶりで、それが残念ですが、
       味は悪くありません。
       みその味が変わります、よろしかったら一度ご賞味ください。

       ●

       また、これも何人ものお客様に催促されていたことですが、
       新蕎麦も遅れ馳せながら、届きました。
       角丸では、品質の安定を考え、北米産の蕎麦粉を使う話は以前に書いたと思います。
       ところが、蕎麦粉屋さんに訊くと、北米産(に限らず輸入粉全般)は新蕎麦が遅いそうです。
       でも、できれば早く新蕎麦を使いたいですからね。
       一時的に、国内産を使うことにしました。
       仕入れ価格は上がりますが、まあ、美味しい新蕎麦を召し上がっていただきたいな、と。

       これはまだ触ってないので、質は分かりません。(24日朝現在)
       本日の営業分より、お出しする蕎麦は新蕎麦に切り替わります。
       今から打ちます!楽しみだ!
       ひょっとしたら、誰より私が楽しみなのかも知れません。

       ●

       (以下は午後の追記)
       やっぱり新蕎麦はよかった!
       やや緑色がかっていて。
       あれ以上緑色のは、クロレラや蕎麦の葉などで着色したものです。
       あれが限界の最高の緑色。
       そして、香りが立っています。
       黒っぽい蕎麦の、雑な匂いじゃありません。
       蕎麦の香りは非常に繊細なもの。
       その香りがしっかり立っています。
       今年はできが良かったみたいで、私も一安心、嬉しい思いです。




10月23日 頭の中はすっかりシリーズ・モードです。
       しかし、敵ながらSHINJOってのは面白い男ですね。
       いつもにこにこして、楽しんでいる感じが伝わってきて、観ていたい気にさせる男だと思います。
       勝敗はもちろんドラゴンズに勝ってもらわなくてはいけませんが、
       ああいう面白い男は滅多にいないと思います。

       ●

       私は現在、愛知県麺業青年会の会長を務めております。
       その関係で、先日、山形県で開催されました、全国麺業青年連合会の全国大会に参加してまいりました。
       朝一番ののぞみで東京へ出て、つばさに乗り換え、片道5時間かけて現地へ行って、
       現地で会議と研修を行い、懇親会は失礼して、また名古屋へ5時間です。
       非常にタイトなスケジュールで疲れ果てました。

       正直言って、私は全国大会の意義がよく分かりません。
       店を休んでまで出かけて行く価値が私には感じられないのです。
       詰まらない政治家のセンセイのお話を聞かされて、地域のおエライさんが挨拶して…
       うんざりでした。
       もちろん、下らないことだけではありません。
       研修の分科会で伺った、農業の新しい循環の仕組みの話などは、とても興味深かったし、
       明日の食文化を担う人間が考えなきゃいけないことだと思いました。
       でもね…店を休んで行くことかなあ…。

       店を開く、お客様にお越しいただく、お越しいただいた方に、精一杯の仕事をする、
       それがうどん屋にとって最も大事で、ある意味、すべてではないかと思うのですが…。

       20日金曜日には、夜遅く、愛知県麺業青年会のだしに関する勉強会を催しました。
       各自、店を終わらせてからの集まりなので、開始は22時をまわり、終了は日付が変わってしまいます。
       それでも、熱心な方は集まるし、業者さんもお付き合いしてくださいます。
       その中で、名古屋地区ではあまり使わない、昆布やウルメの効用などを勉強したり、
       普段使っているムロ・ササなどの節の特徴を見直したり。
       形式ばった会の様式は一切ありませんが、中身は非常に濃いものです。
       愛知県では、日ごろからこのような勉強会を数多く開催しているので、
       全国の意義を疑問視する方が非常に多い。
       全国の意識が変わらないと、組合はますます求心力を失っていくと、私は思います。
       今後も全国のあり方を提言していくとともに、愛知県は実質的な活動を地道に続けて行きたいと思いました。

       そんな中でも、素晴らしい出会いがありました。
       山形の第二公園山長さんとの出会いです。
       山形の副会長をされていて、とても忙しい中、途中で帰る私を階下までお見送りいただいただけでなく、
       ビールで一杯、乾杯できる場を作ってくださって…。
       短い時間でしたが、山長さんの気持ちが伝わりました。
       本当に素晴らしい方で、この方と出会えただけでも、足を運んだ甲斐があったと思いました。
       また山形へ参る機会があれば、ぜひお店に伺いたいと思いますし、
       ぜひ名古屋へもお越しいただきたい、心からそういう気持ちです。

       ●

       しかし、日本シリーズですよね。
       何しろ、52年ぶりの日本一が手の届くところにあるのですから。
       日本一になったら…、落合監督の背番号に因んで、
       みそ煮込み660円セールでもやりましょうか。
       …あれ?高価くなってるか?


9月29日 昨日は仕込み中に、ざっと観ただけだったので、
      家に帰って録画してある「ぴーかんテレビ」を改めて拝見しました。
      まあ、角丸に関する文句は、昨日書きましたから、それでいいです。
      でも、他もひどいですね…。

      冷たいうどんのコツは、氷水で締めるって、そのまんまですよね。
      私も、鍋焼を土鍋に入れる前に、冷水機の氷温水で麺をしっかり締めました。
      コツっていうか、特に冷たいうどんを食べるなら、常識ですよね。
      熱いお湯でないと、冷凍麺が解けませんから、その後、当然冷やします。
      あのお店の方も、何て言っていいか、随分悩まれたのでしょうね。

      また、ほうとうですが、あれも本来、生麺を煮込む料理です。
      塩を使わない生麺を煮込む、みそ煮込みとよく似たものです。
      だから、あれもみそ煮込みと同様、「できない」のです。
      ほうとう風うどんってところでしょう。

      余談ですが、煮込みとほうとうと、あともうひとつ、讃岐の打ち込みうどんも、真水で打つうどんで、
      三者とも生麺を直接煮込むという共通項があります。
      もっとも、みそ煮込みと称して、普通のうどんを使ったみそ鍋焼を売る店もありますから、
      ほうとうと銘打っても、打ち込みうどんと銘打っても、普通のうどんで出すお店もあるでしょうが、
      本来、そういうものです。
      閑話休題。

      結局、冷凍うどんで、お店の味に、というのが無理があるのです。
      冷凍うどんは冷凍うどんです。
      麺の段階で手抜きしたものは、手抜きせずに作った麺とは比べ物になりません。当たり前ですが。
      それを少しでも美味しく食べたいのであれば、他の部分で手抜きしないことです。
      それ以外、ありません。

      あー、もうこの番組に関するコメントは避けます。
      我々が親しみを込めて、『瀬戸の番長』と呼ぶ、瀬戸の末広さんと共演(?)できたことは嬉しかったですが。

      ●

      昨夜は、メーテレの『どですか』の取材を受けました。
      オンエアは、10月3日(火)6:40〜7:00の間と、7:40〜8:00の間の二回だそうです。
      再びテレビ不信に陥りそうな私ですが、気を取り直すことができるようなオンエアを期待しています。
      いや、期待は控えめにおいたほうがいいかな…。


9月28日 今朝、ぴーかんテレビのオンエアを拝見しました。
      今まで色々なテレビ取材を受けましたが、最もひどいんじゃないかと思いました。

      16日にも書いたように(読み比べていただければギャップがお分かりになると思います。)
      私は、「みそに負けないように、だしをしっかりとること」というのを申し上げました。
      スーパーでも厚削りの鰹節などが売っています。
      厚削りのものを、(厚さに応じて)15分なり20分なり煮出して、しっかりしただしを取って欲しい、と。
      花かつをでさっと出すだしは、吸い物にはいいでしょうが、うどん、特にみそ煮込みには負けてしまいます。
      ましてや、インスタントだしでは、ねえ。
      それを伝えることが、今回取材をお受けした理由のひとつだったのに、
      ばっさり編集でカットされました。
      撮影中何度も言いました。全部カットです。
      レポーターが、「だしをとるのは家庭の主婦では大変ですよ」とおっしゃったので、
      「それでもこれは譲れないところです。百歩譲ったとして、だしを取れないなら、
      お好みの具材をたくさん入れてください。肉やかしわや魚介からだしが出ますから」とまでフォローしたのに…

      主婦向けだからって、手抜きを奨励するのはどうかと思います。
      麺を打ちなさい、と言っているのではありません。
      だしを出すことは、そんなに特殊なことなのでしょうか?
      美味しいものを作るのに、私にできることは、手を抜かないこと。
      特殊技術のない方なら、なおさら、手を抜かないことが大事だと思います。
      私に言える、冷凍うどんでみそ鍋焼を作る最大の秘訣は、だしをとること、だったのに。

      だし以外でコツを、と言われた時も、私が最初に捻り出したのは、
      「片栗粉でとろみをつける」でした。
      打ち粉がそのまま入る煮込みと違い、鍋焼はさらりとしているし、
      味がのりにくい冷凍麺では、この方法が一番いいと思いました。
      しかし、その方法は、「さっき撮ってきた店で使ったから、それ以外でありませんか」と却下されたのです。
      すごい理由ですよね。
      散々うなって、たまりを入れる案を出したのですが、
      それは、しっかりしただしがあってこそのコツです。

      確かにテレビ的には、裏ワザ的に、「ちょっとしたことでこんなに美味しさアップ!」みたいな、
      アンチョコ的なものが求められるのかも知れません。
      でも、はっきり言って、そんなものはありません。
      手を抜かずに、基本的なこと(例えばだし)をしっかりやること、これこそが王道であり、近道でもあります。

      またこの番組は、みそを入れるときに、私が「普段店では3種のみそをブレンドしますが、
      今日は一般の家庭向けにみそを赤みそ一種類にします」と申し上げたら、
      「それは『普段は3種類使います』と言ってアッピールしてください」とおっしゃって、
      その通りにしたら、そこもばっさりです。

      今回は、煮込みとうどんの違いが、まだ認知度が低いので、その認知を高めるという目的もありました。
      幸い、それは目的を達したと思われます。
      煮込みは、塩を使わず打った、煮込み専用の麺を、生のまま土鍋で煮込むものです。
      うどん(鍋焼)は、塩水で打った普通のうどんを、釜で茹で、水で締めたものを使うものです。
      全然別のものです。
      ちなみに、角丸では、みそ煮込み:みそ鍋焼の比は、200:1くらいです。
      圧倒的に、みそ煮込みをお勧めします。

      テレビは、影響力が大きく、その力は侮れません。
      だから私は、なるべく協力して、いい関係を築きたいと、ここ最近思っていたのに、
      裏切られた思いです。
      実はまた今晩も、テレビ取材があります。
      今度こそ、いい取材を期待したいものです。
      あーあ。


9月16日 今日は書くことがたっぷりあるんです。
      何から行きましょうか。

      ●

      とりあえずお知らせから。
      今年は一週間延ばした夏メニュー、本日を以って終了いたします。
      また来年、ご愛顧ください。ざる蕎麦は通年やってます。

      ●

      たった今、テレビの撮影が終わりました。
      今回は、東海テレビ「ぴーかんテレビ」です。
      いやあ、今回ほど演技を求められたことはなく、正直戸惑いました。
      テーマとしては、冷凍麺を美味しく食べるべく、街の達人に訊く、みたいな感じだそうです。
      思わず、「達人ってどこにいるの?」と訊いてしまいました。
      で、角丸には、冷凍麺を使ったみそ煮込みというテーマを持ってきていただいたのですが、
      これ、無理なんですよ。
      煮込みとは、塩を使わず打った麺を、生のまま煮込むもの。
      冷凍うどんは、通常のうどんのように、塩水で打ったものを茹でて、
      茹で上げを急速冷凍したもの。
      (ただ、普通のうどんは小麦粉ですが、冷凍うどんは澱粉を混合してあります)
      ですから、まったく別のものになってしまうんです。
      少なくとも、煮込みと呼んでもらっては困るものです。
      みそ鍋焼うどんなら、何とかできるんですが…と言ったら、それが採用されました。
      で、コツですけど、そんなの正直分からないですよね。
      冷凍うどんなんて使ったことがないのですから。
      かといって、あまりいい加減なことも言いたくないので、困ってしまいました。
      結局、私の持論である、だしをちゃんととること、というのを強調してもらうことにしましたが、
      いやはや、悪戦苦闘しました。
      かなり、恥しい映像です。
      ですが、日頃から、煮込みと鍋焼の違いくらいは知っていただきたいと思っているので、
      そういったことをお伝えできれば、嬉しく思います。
      まあ、冷凍麺を使って無理やりみそ鍋焼きを作るより、
      スーパーでかどまるみそ煮込みをご購入いただいたほうが、
      遥かに簡単に、遥かに店に近いものを食べられると思います。
      オンエアは、9月28日(木)9:55〜ですので、気が向いたらチェックしてみてください。

      ●

      昨日、懐かしい顔に出会えました。
      FM802のジャジー谷口氏です。
      10年以上前、私が大阪のFM802というラジオ局のキャンペーンの仕事をしていた時、
      公私にわたって、大変お世話になった方です。
      3年ぶりくらいかな?
      久しぶりの谷口さんは、髪が伸びて、ヒッピーのようでした(それを言って怒られました)。

      今回は、digmeoutというFM802のアートプロジェクトと、
      NISSANウイングロードとのコラボレーション企画で、
      ウイングロードに機材とアーティストを乗せて、日本中を回り、
      そこでアートする、というもの。
      道中の出会いや食事もブログで紹介すると言う、珍道中ものの企画で名古屋へいらっしゃったのです。
      昨夜は麺類組合の役員会があったのですが、それ終わりでイベントにも行って参りました。
      ライブペインティングはかなりの迫力で、色を重ねるごとに画の表情が変わっていき、
      とても面白かったです。
      なかなか、うどん屋をやっていると、そういうアーティスティックなものとは縁遠いですからね。
      久しぶりにgroooveしました。
      また、その席で、角丸の常連さんとも出会い、同い年であることも判明し、盛り上がりました。
      ふだん店では話できないようなことを遅くまで語り合うことができました。
      すごく角丸を愛していただいていて、嬉しかったです。恥じないものを作り続けなきゃ。
      本当に楽しかった。
      
      ↑ゴーン and ウィングロード!

      入るのに気後れするくらいお洒落な一団でしたが、
      10年前はこういう中で仕事していたんだ、と思うと、月日を感じます。
      それだけの時間、うどんを打ち続けて来たんだなあ。

      角丸も詳細に紹介してくれました。digmeout×ウイングロードのスペシャルサイトはこちら。
      過去ログを遡ってみてください。
      会場でビールを呑んでいる私と、珍しく(?)真面目に仕事している私とがいます。
      http://ameblo.jp/wingroad-blog/







9月7日 以前にも、人間は旬の「走り」を好む、という話を書きましたが、
      やはり、旬の「盛り」を過ぎて、「名残り」になった夏メニューの売れ行きが、落ち着いてきました。
      そろそろ角丸も、みそ煮込み一色モードに突入しそうな気配です。

      今年は、非常に夏メニューを多くご注文いただきました。
      ふらふらになるほど、毎日手打を重ね、品質の安定と言う面で、
      一段上に上がれたような気がしています。
      数多く打てたのは、もちろん数多くご注文いただいたからです。
      皆様のおかげです。ありがとうございます。もっと手打が上手くなりたいです。

      で、例年ですと、夏メニュー終了のご案内、と相成るわけですが、
      今年は落ち着いたとは言え、まだまだご注文をいただけますので、
      もうしばらく、あと一週間くらいを目安に、夏メニューを継続しようかと思っております。
      ころ、ささめなど、今のうちですよ。

      これは夏メニューではありませんが、ざる蕎麦も固定ファンがついてくれた感じで、
      毎日打てば打っただけ売れて、ほとんどロスが出なかった。
      これはありがたいことです。
      精魂込めて手打したものを廃棄するほど、ストレスを感じることはありませんから。
      おかげで今夏は、蕎麦がパートさんの口にほとんど入りませんでした。

      毎年、この季節は蕎麦を打つのが嫌になってくる時期です。
      何も考えず、量をこなすのに追いまくられる、必死の夏が終わり、
      少量ずつ、じっくりと打つこの時期になると、蕎麦粉の質の悪さが目に付くものです。
      秋に収穫期を迎える蕎麦の端境期ですからね。
      こればかりはどうしようもないのも事実です。
      ところが、今年は、この時期に至っても、いい蕎麦粉が来ています。
      今年の春だったと思いますが、
      ワタライ製粉さんから、北米の蕎麦粉を使う話を聞きました。
      それが吉と出たようです。
      いつも高いレヴェルで安定していて、ありがたい限りです。

      私は、蕎麦の製粉に関しては素人ですから、単純に粉として私が扱う段階以降の話しですが…
      正直、北米ルートを扱う話を伺った時は、大丈夫かな、と半信半疑でした。
      あまり芳しくない噂しか聞いていませんでしたから。
      一般には、蕎麦粉は国産、次いで中国、というのが業界の常識でしたし。
      ところが、国産は安定しない。いい時は、そりゃいいですよ。水分を含んでしっとりして。
      でも如何せん、供給量が少ないため、異常気象のダメージを受けやすい。
      台風一発で、壊滅状態になってしまう。昨今の気象条件を考えると、安定供給に難がある。
      そうなると、やはり商売としては使いづらい。
      というわけで、数年前から角丸も輸入の蕎麦粉を使うようになりました。
      中国はかつて国産を凌駕するほどでしたが、今は価格が数段上がったくせに、
      質が三ランクくらい落ちてしまった。
      (変なブローカーが跳梁跋扈しているとか、殺菌・殺虫に乾燥をかけすぎるとか、悪い話だらけです)
      オーストラリアは、夏に新蕎麦ってのが売りですが、新蕎麦らしい色はともかく、
      船で赤道を越えるうちに香りがパーになってしまってこれも駄目。
      ワタライさんも苦労されたと思いますが、
      結局北米ルートが功を奏したわけです。

      蒙を啓かれた思いです。
      何でも、噂に惑わされず、自分で確かめてみなくちゃ分かりませんね。
      ブランドに惑わされない、いつも私が書いている、まさにそれなんですね。
      難しいことだなあ、と実感しました。

      端境期から新蕎麦に至るまでの時期、今年は何とかいい状態で過ごせそうです。
      ざる蕎麦は通年メニューですので、またみそ煮込みに飽いたときにご注文いただければ幸いです。




8月30日 朝晩、過ごしやすくなってきましたね…気のせいですかね…

       先日、東麺青年会の会合で、ショッキングなニュースを聞きました。
       我々の大先輩で、よき飲兵衛仲間でもある、東区筒井「だるま」さんが、
       廃業されるそうです…。
       私がうどん屋に入って、青年会に入って、右も左も分からない頃から、
       ずっとお世話になってきた方です。
       一緒に酩酊してきた仲です。
       バーベキューで飲みすぎて、二人で川原で寝てしまったこともあります。
       旅行の時なんて、いつも一緒に最後まで(へべれけまで)楽しく過ごさせていただきました。
       何でも、親父さんたちと一緒に店を切り盛りされてきましたが、
       親父さんの体調が優れなくなり、これを機会に店をたたまれるそうです。
       非常に残念です。
       だるまさんには、新たな道でのご活躍を、心より祈念申し上げます。
       今晩お店にお邪魔するつもりです。

       巷では時折、うどんはブームだという声を耳にします。
       確かに、さぬきのブームがあって、落ち着きはしたものの、廃れてはいないし、
       映画「UDON」も封切られたし、確かにブームなのかも知れません。
       しかし、残念ながら、うどん店の売り上げに直結するようなムーヴメントにはなっていないようです。
       むしろ、大資本がうどんに目をつけて、参入する動きが加速すれば、それは逆風となって、
       即、我々のような小さなうどん屋は、存亡の危機に直面します。

       私は現在、愛知県麺業青年会の会長職に就いております。
       だるまさん以外にも、経営が思わしくないうどん屋さんの話を耳にすることが、多々あります。
       これまでも、勉強会などを通じて、全体のレヴェルを上げたいと願ってまいりましたが、
       それ以上にできることはないのか、今、自問しております。
       困った時に助けて欲しいのが、本来の組合の姿だと思うからです。
       (かと言って、お金を貸す組織ではないはずで、具体的にどうすればいいのやら…)
       個々のお店の事情まで、立ち入れないのは承知していますし、
       私の力など、本当に高が知れていて、状況を打破できるわけではないことも、重々承知の上ですが、
       それでも、何か力になれないか、本気で自問しています。
       これ以上、仲間の店を減らしたくないからです。

       まずは、自分の店をしっかりやっていこうと思います。


8月22日 最近、今まで考えられないくらい店が忙しくて、正直青息吐息です。
       やっぱり万博のころ、少しいつもと毛色の違うお客様が多いかな?と思っていて、
       (いつもはサラリーマンの方が非常に多いですが、その時はお土産の手提げを抱えた方などが多く)
       閉幕後もメディアへの露出が多かったおかげでしょうか、
       またそのお客様がリピーターとなってくださっているようで、
       非常にありがたいことなのですが、
       手打を大事にする性質上、身体が悲鳴をあげています。
       もちろん、売り切るために作るわけで、余らせたい訳じゃなく、
       美味しいと喜んで、またお運びいただくために作るわけで、
       「二度と来るか!」と幻滅させるために作っているわけではなく、
       そう考えれば、大喜びでいいと思うのですが、
       作っても作っても売り切れると、うんざり感じることもあります。
       かと言って、少々手を抜いて…と考えられない性質なので、
       右手の包丁だこを大きくしながら、もうしばらく乗り切ろうと思っています。
       しょっちゅう、売り切れでご迷惑をお掛けしますが、
       必死でやっておりますので、ご理解ください。

       商売的には、この夏ちょっと逆風なアクシデントがありましたが、
       逆にその後商売は順調になっています。
       本当にありがたいことだと思っております。

       ●

       そんなわけで、厨房でも打ち場でも、いつも大汗を掻いている私ですが、
       今日は水分補給について。

       最近、何を見ても、水分補給の時には、失われたミネラル、特にナトリウムを摂ること!
       スポーツ飲料がベスト!みたいな言われ方をしています。
       これも、所謂テレビ的な物の言い方だと思います。
       いや、決して間違っているわけじゃないですよ。
       水分とともにナトリウムやその他のミネラルを補給するのは重要なことです。
       しかし、その同じ番組で、テーマが高血圧になったら、
       急にナトリウム(塩分)を敵視するのはどういうことでしょうね?
       テーマが糖尿になったら、スポーツドリンクの糖分を問題視する。
       ある回には、塩分補給を推奨して、ある回には摂りすぎを戒めている。

       日本人の食生活は、もともと塩分が多めです。
       少々の汗なら、水やお茶で充分だと私は思います。
       そりゃ、熱中症で痙攣しているような人に水を与えたら、
       低ナトリウム血症で死んでしまうかも知れません。
       でも、ほとんどの場合、水で充分です。
       0度から5度の、非常に冷たい水が、最も速く体内に吸収されるそうです。
       スポーツドリンクは、言ってみれば「砂糖入り塩水」で、
       糖分が入っている関係上、吸収は水より遅い。

       まあ、脱水は人によって慣れ不慣れや強さ弱さがありますので、
       一概には言えませんが、普通、汗を掻いたら水で充分です。
       テレビ(や雑誌)は極端な例を持ち出して、恐怖感を煽る場合があります。
       恐怖感から、汗を掻いたらスポーツドリンク、そういう短絡に走るのを狙っているのでしょうか?
       スポンサーの飲料メーカーは喜ぶでしょうね。

       大事なのは、きちんと判断することだと思います。
       テレビが常に正しいなんて思わないほうがいいですよ。
       身体にいいと思って飲んでいるものの正体を見極めることも重要です。
       砂糖入り塩水です。

       熱中症で注意する点は、まず、食事をきちんと摂ることです。
       食事には多くの水分が含まれています。
       ナトリウムや他のミネラルも多く摂取できます。
       食事を摂らないで、炎天下で運動することが危ない。
       きちんと食事を摂ってからならば、水分補給は(たいていの場合)水で充分です。

       前々回のアミノ酸に関することもそうですが、
       テレビをはじめマスメディアの健康情報は、全体像や本当に大事なことを伝えずに、
       一側面から見た特殊な事例を報じることが多いので、注意が必要です。




8月10日 お盆休みまであと一息です…

      ●

      少し前の話になりますが、テレビで味を科学する番組を見ました。
      味覚センサーなる機械を使って、
      味を五つの要素(甘味、コク、塩味、苦味、うま味)に分類し、
      それぞれを数値化することで、味を客観的に表現できるそうです。
      例えば、熱い牛乳と沢庵を混ぜるとコーンスープの味になる、とかやってました。
      その味覚センサーなる機械は、人間の10倍以上の精度を持つそうで、
      商品開発に威力をもつそうです。
      で、お袋の味に代表される、日本古来の味を、食の楽譜のように残すことができるので、
      食文化に貢献するものだ、と言っていました。

      ひどい話だと思います。
      科学万能主義の人って、時々こういうことを言い出すから困ります。
      人間の感覚に敵うような機械は、現在存在しませんし、今後もおそらく無理でしょう。
      人間は恐ろしいほど敏感な感覚を持っています。
      五つの要素なんかで味わっているわけじゃありません。
      (普通、五味とは甘味・酸味・塩味・苦味・うま味なのですが、
      その機械では酸味の項目がなくて、コクという項目があります)
      もっと複雑に、現在の化学なんかではとても解明できないような差も、
      何となくという感覚で判断していきます。

      味は形状にも大きく左右されます。
      例えば、うどんときしめんと冷麦は、すべて同じものですが、
      形状が違うだけでまったく違った食味になります。
      これもセンサーに判断してもらえないことのひとつです。

      教科書はいくらでももっともらしいことを言います。
      こういうだしはグルタミン酸だから、イノシン酸を加えると相乗効果となって、美味しくなる、とか。
      ところが、そうでないこともある。
      職人が味見をするときは、もっと複雑に味わっている。
      科学は非常に分かっていないので、グルタミン酸を加えれば同じだと思っている。
      職人でなくとも、きちんととっただしのうま味と、グルタミン酸のうま味は分かるはずです。
      誰でもわかることなのに、科学の人は、科学的には同じ味だ、とかわけの分からないことを言う。

      結局、これは誤魔化しの機械です。
      食文化に貢献? 笑止千万とはこのことを言うのでしょう。
      ただ単に、変なものを組み合わせて誤魔化しのものを作っているだけです。
      食文化の破壊以外何ものでもない。

      なるべく、だしくらいきちんととりましょう。
      料理研究家の枝元なほみさんが、中日新聞のコラムで、
      「だしをちゃんととると、味がまったく違ってくる」と書いておられました。
      まったく同感です。
      味付けだってもちろん大事ですが、それ以前に、まず、だし。
      それも、鳥ガラや豚骨やコンソメなら、化学調味料に頼っても仕方ないでしょうが、
      鰹のだしは譲れないところです。
      ここをちゃんとするだけで、素晴らしい滋味がでます。
      日本人たるもの、魚のだしの良さを知らなくては。
      これこそ、「食育」のすべてであると言ってもいいくらいだと思います。

      きちんととっただしで、野菜や肉の甘味を引き出した料理を食べると、
      大げさでなく、こころから癒される感覚に陥ります。
      優しい気分になれます。
      ああいうものを食べるだけで、犯罪の大部分は防げるんじゃないかしら。
      その対極にある料理もあります。
      大阪時代に、よく「F」というデリバリー弁当を食べました。
      値段もまあまあ高いし、味付けも悪くない、なのに、
      食べていると殺伐とした気分になる弁当でした。
      何故かは分かりませんが、本当に殺伐としてくるのです。

      こんなこと、センサーでは絶対分かりません。
      機械なんかに絶対負けない自信とプライドを持って、これからも味見して参ります。
      自分の全能力をかけて。



 

8月7日 夏本番ですね。とにかく暑い!厨房は連日凄い温度になってます。
      はやく涼しくなって欲しいものです。

      ●

      昨日、友人宅でテレビを観ていて、「アミノ酸」特集を眺めておりました。
      大体において、テレビの健康情報というのは、大雑把に過ぎたり、説明が足らなかったり、
      誤解を招きやすいものだと思いますが、昨日のもかなりぞっとしない番組でした。
      大まかに番組の内容を要約しますと、
      ・アミノ酸を寝たきり老人に投与すると、筋肉を保持できる、
      ・室伏幸治さんが出演し、自分もアミノ酸を欠かさないと発言し、
      ・アミノ酸を飲んで運動すると疲れない、という実験をやっていました。

      まず、アミノ酸というのは、体内で蛋白質が分解された時の状態です。
      アミノ酸は約20種類もあり、すべてが人間の成育に不可欠なものです。
      その中でも、自分自身の体内で作ることのできない8つを、必須アミノ酸と言います。
      (スレオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、バリン、トリプトファン、ロイシン、リジン、イソロイシン、メチオニン)

      「アミノ酸を摂取すると体にいい」というのは非常に危険な物言いです。
      例えば、必須アミノ酸のひとつで、牛乳などに含まれる、トリプトファンを大量に摂取すると、
      人間は簡単に死んでしまいます。
      (ただ、牛乳をいくら飲んでも、トリプトファン単体を摂取するわけではないので、それで死ぬことはありません。)
      逆に言うと、そのくらい効くのです。
      単体で摂取するのは、薬として考えたほうがいいでしょう。
      摂りすぎの副作用は必ずあります。
      また、アミノ酸の何をとると有効か、その判断は素人にはあまり簡単ではありません。
      でも、ドリンクでも、アミノ酸×××r入り、みたいな書き方で、
      一くくりにしてしまっています。
      まあ、大抵は分岐鎖アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン)が入っていることが多いようですが。

      以前このページでも書いたことがありますが、
      通常の酢の10倍ものアミノ酸を含んでいるのを売りにしている酢があります。
      でも、もともと酢にはほとんどアミノ酸が含まれておらず、
      10倍になっても知れている、と書きました。
      アミノ酸をわざわざ摂取しなくても、通常の食事をしっかり摂れば、それで充分なのです。
      室伏選手は特別で、一般人の想像を絶するトレーニングをこなすため、
      通常のバランスいい食事をたくさん摂った上で、アミノ酸をさらに補助的に飲んでいるのです。
      本人も、しっかりと食事を摂ることが何より重要だと発言されています。

      一般の人ならば、食事をしっかり摂った上でアミノ酸を摂ると、
      カロリーオーバーで肥満が心配です。食事で充分だと私は考えます。
      寝たきりのお年を召した方や、夏ばてでそうめんしか食べていないというような方なら、
      アミノ酸を摂取する効果はありそうです。
      何らかの理由で食事を摂れない方には、お勧めします。
      ただし、専門家のコントロールの範囲であることが望ましいと思います。

      また、アミノ酸で脂肪燃焼効果があると信じていらっしゃる方は多いのですが、
      それを飲んで10キロ走るのと、水やお茶を飲んで10キロ走るのとでは、
      アミノ酸のカロリー分、前者のほうが痩せません。
      数字のマジックで、運動直後のデータなどをこれ見よがしに載せていますが、
      一日単位やもっと長い目で見たら、確実に前者のほうが脂肪を消費していません。
      脂肪燃焼効果があると謳うアミノ酸を摂取して走ると、疲れにくいのは事実なので、
      つい12キロ走ってしまった、これならば、もちろん痩せますが。

      アミノ酸は万能ではありません。
      食事で健康を保つには、炭水化物・蛋白質・脂肪の三つをバランスよく摂ること、
      食品の数を増やすことです。
      みそ煮込みなんて、最高に健康的な食べ物だと、私は思います。

      ●

      「ヘルシー」って言葉も、本来「健康的」って意味だと思うのですが、
      「カロリーが低い」って意味に使われる場合が多くなっているように思います。
      こんにゃくでできた麺だからヘルシーだ、とか。
      栄養がないんですから、本来「健康的」ではないと思うんですがね…






7月31日 あっという間に7月が過ぎ去ろうとしています。
       HPの更新をしないままに…

       ご覧いただいている皆様、申し訳ございません。
       7月は、本当にいろいろとばたばたしていたのです。
       その間に、東京で行われた全国麺業青年会の総会にも出席し、
       他県の麺類業者さんとさまざまなお話をする機会もありました。
       岐阜県瑞浪の田中陶器さんへ見学にも伺いました。
       それもこれも書きたいのですが!

       みのもんたさんは、「暑い」「寒い」「忙しい」「疲れた」という四つの
       言い訳ワードを、決しておっしゃらないそうです。
       今や世界一ハードスケジュールのみのさんが「忙しい」と言わないのに、
       私にその言葉を口にできるわけもありませんが、
       愛知県麺業青年会の会長に加え、
       東海ブロック長と全国麺業青年連合会副会長と、肩書きばかりがインフレして、
       参っております。
       大局的な視野を要求されることもありますが、
       どこまで行っても、私は一介のうどん屋。
       自分のやるべきことを見失うことなく、
       マイペースで行こうと思っております。
       HPも、8月は7月の分まで更新しますので、どうか、今後もお付き合いください。

       ●

       お盆休みのお知らせです。
       8月12日(土)まで営業。
       13日は定休日で、14〜16日までお盆休みを頂きます。
       17日(木)より、通常営業に戻ります。
       12日はもともと14時までの営業ですが、売り切れ仕舞いの可能性もありますので、
       少し余裕を見てお運びくださると助かります。

       よろしくお願いいたします。


6月26日 もうかなり前の話になりましたが、友達を、
       私の一押しの焼鳥屋、「きさちゃん帝国」へ案内しました。
       (「帝国」は一時的に営業時間が早くなってしまいました。残念!)
       「帝国」のことは、あちこちで宣伝していますし、いろいろな人間を連れて行ったのですが、
       彼は焼鳥にうるさい男と聞いていましたので、ぜひ連れて行きたかったのです。
       それ以前にも、何度か一緒に呑んで、味の感覚に近いものを感じていましたし。
       で、私のお勧め品を一通り食べてもらいました。
       彼は満足してくれているようでしたが、自分のお気に入りの店と比較して、どちらに軍配を上げたかは、
       私には分かりません。
       まずい、とは思ってもらってないと思いますが、日本一!と感じてもらったかは分かりません。

       また次の機会、今度は同じ彼に、絶賛のラーメン屋を紹介してもらいました。
       尾張旭の中華そば屋さんです。
       人気店のようで、並んで食べました。
       私は美味しいな、と思って食べましたが、絶賛する彼とは温度差を感じました。
       まあまあ、よりは上ですが、サイコー!には届かない、って感じです。
       でも、これは仕方がないと思います。
       味の評価というのは、人それぞれだからです。

       で、何で評価が分かれてしまったのか、考えました。

       味を評価するというのは、難しいことだと思います。
       例えば、同じビールを飲んでも、
       真夏にスポーツをやって、その後、のどがカラカラ状態で飲むのと、
       なんとなく暇つぶしに飲むのとでは、味の評価は大きく変わってしまいます。
       つまり、食べる側の体調に、左右されてしまう、ということです。
       これには、直前に何を食べたか、も含まれます。
       (直前にコーヒーを飲むと、つゆの味見はまずできません。)
       他にも、クセになるかどうかの問題もあります。
       ブルーチーズを、最初から好きな方はかなり珍しいと思います。
       赤ワインもそうですね。渋くて飲みにくい、でも、そのえぐい味がクセにさせる要素です。
       一度食べただけでは変わった味、で終わってしまうことってあると思います。
       また、昔からの慣れの問題もあります。
       子供の時から慣れ親しんだ味って、美味しいですもんね。
       私は未だに、「どんどん焼」という駄菓子を見るとつい買ってしまいます。
       たいして旨いものじゃない、と頭では分かっていても、食べるとやっぱり旨い!

       グルメ番組でこういうのをよく見かけます。
       一口食べて、大感激!みたいなやつです。
       例えば、焼肉屋さんで、特上カルビの凄い高いヤツを注文すると、
       脂が霜降りでびっしり入ったヤツが出てきます。
       あれなら、そんな感じでしょうね。
       私はああいう肉を、「旨すぎる」と表現します。
       一口で充分だからです。多く食べられない。
       一口食べて美味しいものと、完食して美味しいものとは、違うものだと私は思います。

       そう考えていくと、最高に美味しい、という思いを共有するには、
       @体調を同じように整えて、A割と似た味覚を共有していて、
       Bクセを理解してもらうまで何度も通う!というステップを踏むことでしょうか。
       そんなことできっこないですよね。
       だから、本来は、一度の試食で、決め付けてしまわないことが大事なような気がします。
       うまい、まずい、そういう決め付けは、何度も通ってから下さないと、フェアじゃないですよね。
       それもなかなかできっこない話ですけどね。

       前述の中華そば屋さんにも、また行ってみようと思います。
       前回、スープにクセを感じたのですが(ダシと醤油の両方にクセがあった)、
       二度目三度目で嵌りそうな何かを感じたから、というのもあります。


       ●

       それでも、我々は一期一会のつもりで、麺をこさえます。
       角丸とお客様とのワンチャンスを、満足していただきたいからです。

       次回は、味を科学する話を書きます。



6月22日 お知らせが遅くなりましたが、夏メニュー、とっくに始まっております。
       更新が追いつかず、申し訳ありません。
       ころきしめんや、ささめが人気です。
       売り切れ御免ですので、悪しからず。

       ●

       去年から、若手の業者さんたちと、我々青年会員で、交流会を行っております。
       最初は、ただの飲み会でしたが、討論会や試食会などもやるようになりました。
       (あ、去年一度書いていますね…興味のある方はこちら
       前回は、「既存メニューの10%クオリティアップ」をテーマにしたのですが、
       今回は、「新メニュー開発」と銘打ちました。
       例えば、カレーうどんって、そう昔からあるメニューではないにも係わらず、
       今ではうどん屋の売れセン定番メニューですよね。
       誰かが最初にやり始めたから、カレーうどんは現在、定番として存在する、ということです。
       で、できれば、将来的に麺類店の新定番となり得る、斬新なメニューを編み出そう、という試みです。
       6月9日に討論会を行い、17日に3品を実際に試作して、皆で試食しました。
       個人的には、にこごりを使った、味の変わるうどん、「尾張からくり麺」に
       発展性を非常に感じました。
       密かに、みそ煮込みで、作ってみます。
       まあ、老舗ですから、なかなか新メニューを採用するところまで行かないんですが…
       (老舗を言い訳にするつもりは無いのですが、今の角丸であまり突飛なメニューもいかがなものかと…)
       詳しくは、青年会ページ(愛知県の行事ですが、東麺類のページを間借りしています)をご覧ください。

       ●

       また書きますね。
       次回は、味の評価について書きます。



5月30日 暑くなってまいりましたね…

       ●

       今週も二回ほど取材依頼の電話をいただきました。
       割と、協力して、お互いのプラスにして行こう、という気持ちがあるのですが、
       中には相変わらずひどいところがありますね。

       「ホームページを見てきました」と第一声をいただいて、
       そのくせ、「まずはご主人のこだわりについて聞かせてください」なんて言われちゃうんです。
       いつもこのページにお付き合いいただいていらっしゃる方なら、私が「こだわり」って言葉を
       好きではないことをご存知ですよね。
       呆気にとられるシーンが多々あります。

       食べようとなさらない方もまだ多いですね。
       流石にそこは譲る気になれませんので、
       食べて、ご自分のお感じになったことを書いて欲しい旨、それだけ必須でお願いしております。
       いくらなんでも、カメラマンだけいらっしゃって、撮影して、
       ライターは後日電話で取材なんていうのは、ちょっと無いんじゃないかと思います。
       例え、そういう条件を出すせいで取材が減っても、ここは死守したいところです。
       でも、食べていただいても、出来上がりの記事を拝見すると、
       私のホームページの秘訣ページからそのまま転載ってことが多くなりました。
       間違いではないので、敢えて訂正はしませんが、つまらないことだなあと思います。

       以前読んだ村上春樹さんの小説に、こういった部分がございました。
       (確か、『羊をめぐる冒険』か『ダンスダンスダンス』だったと思いますが…)
       うろ覚えですので、違ったらご容赦願いたいのですが、
       主人公がグルメ取材の仕事をする時の話で、
       まず、現地でコーディネーターの推薦や雑誌を元に、候補店一覧を作成する、
       そして取材であることは伏せて、一見客として食べる、完食は無理なので少しだけ食べて次の店、
       その繰り返し、そして気に入った店だけをピックアップして、改めて取材依頼する、
       そういう流れでした。
       私の実感で言うと、そんなに丁寧な仕事をする方には、まずお目にかかれません。
       (一割?もっと以下ですよ!)
       だいたいにおいて、有名雑誌の中から適当に拾うか、ネットで拾うか、
       いきなり電話です。食べてみて、気に入らなかったらどうするつもりなのか、
       こっちが心配になってしまいます。

       もちろん、前述の小説中でも主人公が言っていた通り、
       少ししか食べないことは褒められたことではないと思いますが、
       (少ししか食べないと味の印象まで変わりかねませんしね。
        一皿食べきって初めて…あ、この話は長くなりそうなのでまた後日書きます。→6月26日に書きました)
       そういう過程を経たガイドブックのほうが信頼に足ると、私は思います。
       そして、最低限必要な仕事だと思うのですが、いかがでしょう?

       私は10年以上前大阪にいた頃、「京阪神エルマガジン社」の、
       凄みすら感じさせるグルメ取材を知っています。
       他の雑誌とは、情報の信頼度が違います。
       なにしろ、普段から美味しいものに対して、アンテナを張り巡らせて、
       何より、自腹ででも食べるのが大好きな人たちでした。

       そういう、最高の取材を求めているわけではないんです。
       最低限、クリアして欲しいハードルがあって、それすら危うい実情に警鐘を鳴らしているのです。
       これから、角丸はマスコミに敬遠されるかも知れません。
       うるさいからです。
       私だって、みそ煮込み嫌いの人を、一人でも多くみそ煮込みファンになって欲しくて、
       そのためにはマスコミの力をお借りしたいと思っています。
       マスコミの力は侮れません。
       それでも、譲れないラインを下げる気はありません。

       ガイドブックを見て、「角丸が載っていないなあ」と思ったら、
       その本は疑ってかかったほうがいいかも知れません。
       私は、それだけの自信がありますし、私自身、角丸の載っていない本は信頼していません。
       いずれ、信頼できるガイドブック選びのためのガイドブックってのを作ってやろうかしら。

       ●

       タイミングよく(悪く?)、これを書いている途中で、電話があり、
       電話で取材したいと言われました。
       そのせいで、書き始めより随分と毒が強くなってしまったように思います。

       また書きます。




5月24日 先日、私の親父である二代目が、愛知県麺類組合の表彰を受けました。
      50年以上経営従事者、という表彰です。
      あまりそういう席には顔を出したがらない親父なのですが、
      「せっかくだから」ということで強引に行ってもらいました。
      本人もまんざらではなさそうで、その日は麺類組合の理事の方々と遅くまで楽しく呑んだようです。

      親父は手打をやる人間ではありませんし、私とは商売の考え方も違う面があり、
      一緒にやっていると腹立たしく思ったり疎ましく思う時もありますが、
      でも、立派な親父だと、誇りに思っています。
      こんなに話のわかる親父は、ちょっといないと思いますし、
      こんなに仲のいい親子もちょっと珍しいと思います。
      古稀を過ぎた親父ですが、人生の張り合いと言う意味でも仕事を続け、
      これからもいろいろ教えてほしいと思います。
      正直、麺に関してはあまり訊くこともなくなりましたが。

      どこが凄いか、一言で言うと、男としての格好よさだと思います。
      なかなか勝てません。
      いいエピソードもたくさんあるのですが、このページでは書きません。

      ●

      昨日、愛知県麺業青年会の総会が開催され、
      私三代目日比野宏紀が、愛知県麺業青年会の会長を仰せ付かりました。
      別に会長だからって、役をやっているだけで偉いわけでもなんでもないんですが、
      何せ県全体の利益を考えなければならず、責任はずっしり重く、身の引き締まる思いです。

      また近々書きます。




4月27日 もうすぐGWですね。
       角丸も、やっと蕎麦が出るようになってきました。
       最近、蕎麦粉の状態がいいところで落ち着いているので、
       とても気分よく、毎日蕎麦打ちできています。
       みそ煮込みに飽きてきたとき、たまにはざるそばを召し上がってみてはいかがでしょうか?

       ●

       先日、食事をしたときのこと。
       メニューを見ていたら、ずらり並んだ洋食メニューの中に、
       「手作りコロッケ」なるものがありました。
       ???
       じゃあ、他のメニューは手作りじゃないの?って疑問が私の中に浮かびました。

       「手作り」もそうですけど、耳障りのいい言葉を多用した店って結構増えてきたと思いませんか?
       そうですねえ、「こだわり職人」「無添加」「無農薬」「国産」ってな言葉です。
       必要ないと思うんですが、あえてメニューの文言の上に鎮座している。
       あるうどん屋さんでも、国産小麦粉使用!と大書してありました。
       で、一緒にいた者に訊いてみると、イメージがいいらしいですね。
       私の考えでは、うどんを作るのに最高の小麦粉はオーストラリア産。(現在のところ)
       国産も何度も何度も試しましたが、色味がくすんでいたり、味がもうひとつだったり、
       力が足らなかったり感じました。
       原因のひとつには品種改良の問題があると思います。
       国産に目が向かなかった時代が続いたせいで、
       戦争あたりからろくに品種改良がされていないのです。

       手作りって謳うのは、どこまでやらなければいけないのでしょうか?
       封を開けてチン!は違いますよね。
       冷凍ものを自分の店で油で揚げたら、手作りではない?
       じゃあ、ジャガイモを買ってくるのはOKですか?
       買ってきたジャガイモが、皮を剥いた加工品だったら?

       きりがありませんね。
       結局、どんな過程を経ようとも、結果は味に出ます。
       いくら耳障りのいい言葉を並べても、まずいものはまずい。
       何度も同じことばかり書いているようですが、
       能書きだけ達者な店が明らかに増え続けているように感じられ、
       一石を投じ続けたいと思いました。

       耳障りよりも実質。
       能書きよりも完成品に語ってもらう。
       角丸はそうあり続けたいと思います。

       よいGWを。
       角丸は暦通りに営業します。6日(土)も、14時まで営業します。





4月4日 先週は寒の戻りがありまして、みそ煮込みのご注文をたくさんいただきました。
      今シーズン最後の大忙しになりそうな気がしています。

      ●

      今日は、成分表示の話を書きます。

      私は、自家用にスーパーなどで買い物をするときは、成分表示を参考にします。
      例えば、豆腐を買う時は、
      @丸大豆を使用し(脱脂加工大豆という、油を絞ったカスで作った豆腐もありますから)、
      Aにがりは塩化マグネシウムと表示され(硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトンは駄目)、
      B消泡剤の使われていないもの、を選択します。
      こうして、まず、第一関門を作るわけです。

      ちなみに、成分表示は、量の多いものから記載することになっています。
      蕎麦だと、「小麦粉、蕎麦粉」の順になっている商品がほとんどです。
      閑話休題。

      ただ、記載はどこまで信用できるか、それは私には分かりません。
      また、記載が正しいとしても、信用できる商品かどうかは別の話です。
      例えば、私がうどんをこさえても、素人が機械でこさえても、
      原材料は「小麦粉、塩」だけです。
      澱粉などを加えたまやかしのうどんだけは原材料表示に記されますが、
      水回しの技術や、小麦粉の保管、寝かしのタイミングなどは記載の範囲外のことです。
      うどんの味を左右する、とても大事なことなのに!

      一口に小麦粉と言っても、千差万別です。
      スパゲティを見ると、ほとんどすべての商品が「デュラム小麦100%」と書いています。
      で、味が同じかと言うと、とんでもない話です。
      (私は『ディ・チェコ』をいつも選択します。)
      うどん用小麦粉を例にしますと、
      まず、原料を挽きます。粉になる部分とならない部分があります。
      粉にならなかった部分は、篩にかけて、再度挽きます。
      また、粉になる部分とならない部分ができます。粉にならなかった部分を篩に…と、
      この行程を繰り返し、某製粉会社さんでは20数種類の性質の違う粉を作ります。
      別の会社では40種類に分けるそうです。
      その中から、ブレンドにより、麺用小麦粉の商品が出来上がります。
      ざっとした説明ですが、大まかにはそんな感じです。
      金トビ志賀さんでは、同じ原料から、「かもめ」「Gかもめ」「金トビ」の三種類の粉が出来上がります。
      この三つは、まったく性質の違う粉です。
      でも、表示では「小麦粉(中力粉)」です。

      同じような表示の豆腐でも、味は大きく違います。
      最後は消費者が、優劣をつけ、好みのものを選ぶ、そういうことだと思います。
      成分表示は、とても参考にはなりますが、決め手にはなり得ない、ということです。

      すべての努力は、完成品のためにあります。
      完成品に反映されない努力は、自己満足に過ぎないのだと思います。
      最終のできあがりの味、これは嘘をつかないと信じて、私は麺をこさえています。

      ●

      先日、お客様で、「このきしめんは手打ち?」と訊いてくる方がありました。
      私が「そうですよ」と答えると、ニヤニヤしながら「嘘でしょう?」と言われました。
      切り幅や延し厚さが均一だという褒め言葉と解釈し、引っ込みましたが、
      あまり面白くはありませんでした。
      食べて分からない方が、それを質問してどうしようと言うのでしょう?
      私の言うことを信じない人が、私に何で質問するのでしょう?
      煮込みの麺は機械で切ります。うどんの一部も機械で切ります。
      きしめん、蕎麦は、最初から最後まで機械を使いません。
      正直に言うこの言葉を、信じない人は信じなくて結構です。
      ある程度、食べる経験を積んだ方なら、訊かなくても分かっていただけると思います。
      それに、おいしい完成品ならば、手打ちでも機械打ちでもいいんじゃないですか?



3月22日 すいません、書き忘れていましたが、
      今シーズンの牡蠣は終了しました。
      また来年お願いします。

3月18日 早いもので、私が角丸に入ってから、まる10年が経ちました。
      今日は、11年目の初日です。

      うどん屋をやる前は、FMラジオのキャンペーンの仕事をしていました。
      その仕事にも愛着があったのですが、親父がいい年になったこともあり、
      「自分が継がなければ、角丸のみそ煮込みを食べられなくなる」という思いを決め手に、
      まったく畑違いの仕事に就きました。
      大学時代、スキーの居候でお世話になった宿で、厨房の仕事をしたことや、
      元来、おいしいものを食べ歩くのが好きな性分だったこと、
      生まれながらにうどん屋の息子であったことなど、
      自分の財産とも言える経験をベースに、いちからがんばってきたつもりです。

      うどん屋の仕事を始めるときは、10年くらいを目安に考えていました。
      人より二倍三倍勉強して、あっという間にうどんを窮めてやろうと思ったのです。
      下手をすれば、5年くらいで…なんて。
      今にして思えば、何と不遜なことか。
      この10年、(二倍三倍かはともかく)周りの同業のうどん屋さんよりも多く勉強してやろうと、
      頑張ってきた自負を持っていますが、
      進めば進むほど足りない部分が目に付き、
      近づいているはずが遠ざかっているような錯覚に囚われることもあります。
      まるで空回りしているように感じたことも一度や二度ではありません。
      私のような力の足らない者には、10年は短すぎる時間でした。

      時間とともに、他のうどん屋さんと比べて、勝った負けたを言うことには、興味を無くしてしまいました。
      自分のつくりたいものと、お出しできるもののギャップを如何に埋めていくか。
      そして、時々ある、掌に吸い付く最高、100点のうどん、如何にあれをコンスタントにお出しできるようにするか。
      (80点で安定させるのは簡単なのですが、90点で安定させるのは難しく、100点で安定は不可能に近い。)
      それが今後10年のテーマであるように思っています。
      もちろん、新たなことにも目を向けながら。

      これまでの10年は、目に見える進歩があり(例えば、手打なんてまったくできなかったのですから)、
      張り合いもありましたが、これからの10年は、ほんの少しの上積みを求めていく、
      退屈な作業だと思います。
      しかし、気の遠くなるような退屈の先に、私の求めるものがあると信じて、次の10年を乗り切ります。
      今までそうだったように、これからもトップギアのままで。

      ●

      あと、そうですね、今後の10年(10年よりは短いスパンですが)は、
      今まで以上に組合活動に力を入れていこうと思っています。
      苦戦している仲間も多いようです。
      麺類業界全体が活性化するよう、(これも今までもそうでしたが)尽力して参りたいと思います。

      ●

      偉そうなことを失礼しました。
      そんなに大したモンじゃございません。

      また近々更新します。


2月27日 寒さが和らいで参りました。
       だんだん、みそ煮込みのご注文が減ってきて、
       ざるもののご注文をいただくようになって参りました。
       春が近づいているのを感じます。

       雪融けした水が海に流れ込むと、牡蠣がミネラルをたっぷり吸収して、
       味が良くなります。
       これからが、残り短い旬を迎えます。
       年頭はあまりに大振りのものが多かったのですが、
       サイズも落ち着いて、味も良くなってきています。
       ぜひご賞味ください。

       これはまったく余計なお世話ですが、
       みそ煮込みに牡蠣を入れたときは、玉子を入れないほうが、私は好きです。
       牡蠣の味がストレートに伝わるからです。
       お好きな方には、まったく余計なお世話の話だと思いますが。

       ●

       年末年始にかけて、蕎麦粉の状態にも閉口しておりましたが、
       一月半ば過ぎから状態が良くなっております。
       蕎麦粉屋さんとも、本日話をしましたが、
       どうやらこのまま落ち着いてくれそうです。
       状態が悪い時は、私も悪戦苦闘しましたが、お客様にもご迷惑をお掛けしたと思います。
       召し上がったときに、何か違いを感じられたお客様、申し訳ありませんでした。
       今なら、いい状態で召し上がっていただけると思います。

       ●

       今日は、ここまでです。
       2月も終わりなのに、一度しか更新してないのに気づいて、
       とりとめの無い話でつなぎました。
       また今度、ちゃんと書きます。
       書くネタはたくさんあるんです。



2月3日 本日は節分です。
      豆まきと並んで、「恵方巻き」もすっかり名古屋にも定着したようです。
      大阪では、鰯も食べる習慣がありますね。頭を落としたやつ。
      あれに比べて、恵方巻きが浸透して行ったのは、すし組合の力が大きいのでしょうか?
      そういえば、どこかで「節分そば」という話を聞いたことがありますが、
      実際どうなのでしょうか?
      こじつけなのか?いわれがあるものなのか?
      角丸では本日も蕎麦のご注文は、ほとんどありませんでした。
      こちらはまだまだ浸透していないように思います。

      ●

      節分と言えば、角丸では、初代の誕生日です。
      そして今年、生誕100周年を迎えます。

      初代・日比野高治がこの世を去って、10年以上経ちます。
      私のお爺さんなのですが、お爺さんは厳しい人だったようです。
      ようです、というのは、私にはとても優しいお爺さんだったからです。
      仕事振りの厳しさは、今でも、よく耳に致します。
      細かいところまで、大事に仕事をする人だったようです。

      初代が亡くなって、次の年に私は角丸に入りました。
      亡くなる前から、認知症が進んでしまい、晩年はあまり話もできませんでした。
      もし生きていたらなあ、とか、もう少し早く店に入っていたらなあ、と思います。
      できれば、同じ職人として、仕事に厳しい職人同士として、
      うどんについて話してみたかった、勉強させて欲しかった、と思います。
      二十歳そこそこで店を出した苦労も、戦争を乗り越えた話も。
      機械の無い時代の人でしたから、水回しの作業だけで相当な仕事量になり、
      爪を切ることが無かったと聞きます。爪が磨り減るほど、水回ししたのです。
      頭が下がる思いです。そういた先人のおかげで、今、こうして仕事ができています。
      話をすることは、今となっては叶わぬ夢になってしまいました。
      でも、初代の仕事を思い、初代のマインドを大事に、これからも仕事に励みたいと思います。
      合掌。

      
       

1月28日 毎日毎日うどんを打っているのですが、
       やはり、新たな発見というものがあります。
       暮れから新年にかけても、ふたつ新たな発見があって、
       その発見したことが今日うどんを打つ技術にも反映されています。
       ひとつは、狙って試してうまく行った発見、
       もうひとつは失敗の中なら得た発見です。
       発見内容は感覚的な話なので割愛しますが、
       毎日飽きることなく、新たな気分で麺を打つことができています。

       ●

       去年書いたと思いますが、交流勉強会という、
       若手業者様と討論する会を開催しまして、
       その中で学んだことをもとに、蕎麦つゆの試作をしています。
       角丸のつゆは、名古屋風の、甘みのあるものですが、
       (それでも随分甘みを減らしているんですが)
       東京テイストを取り入れ、すっきりしたものを試作中です。
       試作一号は12月にできあがり、友達などから好評を得ています。
       現在、さらに改良を加えた試作二号の「かえし」を寝かしているところです。
       私自身、すごく気に入っていますが、
       角丸のつゆとしてお出しするかどうかは五分五分といったところです。
       私は、思い切って味を変えていくほうですが、
       やはり老舗の暖簾もあるますし、
       今まで角丸のつゆに馴染んで下さっているお客様のことを考えると、
       なかなか踏ん切りがつかないのが正直なところです。

       こういった冬場は、角丸では蕎麦のご注文はほとんどありませんが、
       それでも毎日、少量ずつこさえております。
       そして、こういうあまり出ない時期に、夏のシーズンを見越して
       味の研究に励んでおります。
       もし、新味のつゆがお目見えしたときには、またこのページでお知らせします。

       ●

       いつか本で読みましたが(本の名前は失念しました)、
       「本当にいい仕事というのは気の遠くなるような退屈の果てにある」との一節がありました。
       私などは、今現在、麺打ちの新たな発見もどんどんありますし、
       つゆ、だし、その他にも改良の余地が多々あります。
       まだ、自分の麺はこれだ、と悟り、そこへ邁進する段階まで行けていないので、
       とても退屈などしておられません。
       毎日新たな試みと発見で、楽しく仕事ができております。
       いずれ、自分の麺、つゆ、だし、すべてにおいて、これだ、と思うものが見つかったら、
       そこから退屈に、地道に、精度を高める域に入るのでしょうが、
       私は遠くそこに及びません。まだまだ修行中です。
       いつか、本当にいい仕事ができるまで、今のところは基礎固めに精を出します。



1月26日 ずいぶん前のことで、気乗りしないようになってしまいましたが、
       予告どおり、あるラーメン店で感じたことを書きます。

       某チェーン店での話です。最近急に増えてきました。
       昭和29年創業、を売りにした、低価格店「K」です。

       私はラーメンを食べるのが大好きです。
       こってり臭い豚骨でも、あっさり醤油や塩でも。
       (背脂チャッチャ系だけは苦手)
       で、その日は素朴なラーメンが食べたくて、その店に行きました。
       メニュー構成を見て驚きました。
       とてもお値打ちです。
       ラーメンやうどんは大衆食である、と考えている私は、好感を持ちました。
       ところが、頼んだ生ビールを飲むと、どう転んでも発泡酒か第三のビール。
       (発泡酒でびっくりして、第三のビールは飲んでませんので分かりませんが)
       かなりがっかりしましたが、まあ、ラーメン屋さんですから、我慢しなきゃな、と思い、
       一番ベーシックなラーメンを注文しました。390円だったと記憶しています。
       これが…何と表現すればいいのでしょう?
       まずくはありませんよ。
       ただ、化学調味料で強引に作った味です。
       豚がら鶏がらの旨さ、鰹その他魚介の旨さ、野菜の旨さ、まったくそういったものはありません。
       それを化学的に分析して再現した味です。

       あれを旨いと感じる人が多いのでしょうか?
       化学調味料が悪いとは言いません。ただ、それに頼りっぱなしでいいのか?
       安っぽい、簡単な味だと、私は思います。
       家族で安く済ますにはいい店でしょう。
       「旨くないけど安いし手頃に済ますか」であればいいのですが。
       決して、安くて美味しい店ではありません。安いだけの味しかない店です。
       390円は安くありませんよ!内容を考えたら、結構な値段です。
       ああいう店を判別できるかどうか。
       それが最低クリアしなければならない舌のレヴェルだと思います。
       ラーメン店に限らず、ああいう味の店が増えてきましたから!

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       昔々の話で恐縮ですが、
       十数年前、大阪ミナミでよく行く洋食屋さんがありました。
       御堂筋から道頓堀通りを西へ、阪神高速の手前を北に上がった「ニューライト」という店です。
       十年以上行っていませんから、現存するかどうか、味がキープできているかどうかは分かりませんが、
       私は大好きでよく通いました。
       で、そこでセイロンライスというカレーや、カツサンドや、いろいろなメニューを食べましたが、
       必ずラーメンも一緒に頼んでいました。
       食べていて優しい気分になれるほど滋味深い味で、私は大好きでした。
       豚系だと思うのですが、すっきり透明なさっぱりスープで、280円の値打ちさでした。
       ああいうラーメンが、安くて旨いラーメンです。

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       手前味噌ですが、角丸の中華そばも隠れ人気メニューです。
       角丸のメニューの中で、角丸のだしの良さが一番分かるメニューじゃないかとさえ、私は思います。
       ムロアジと鰹の、三代目自慢のだしって、こんなに甘いものかと感じていただけると思います。
       惜しむらくは、初代の頃から、胡椒を入れること。
       胡椒は強すぎて、せっかくの甘みが台無しになります。
       胡椒入りの味は…化学調味料で再現できそうな感じになってしまいます。
       できれば注文の時は、「胡椒なし」とご注文願います。
       胡椒なしのスープを飲んでいただいて、甘みを感じていただいてから、
       お好きな方は胡椒をかけていただいても結構です。
       三代目お勧めは唐辛子で召し上がっていただくことです。
       唐辛子は、魚介だしの良さを殺しません。
       いずれ親父が完全に引退したら、胡椒なしでお出しすることに致しますが、
       それまでは、「胡椒なし」とご注文ください。
       もちろん、大昔から化学調味料なし、「無化調」のラーメンです。わざわざ大書しませんが。


1月11日 今日はしょうもない話を書きます。
      いつだって、しょうもないと言えばそうなのですが…。

      5日に仕事始め…の話は前回書きました。
      実は仕事始めを無事終えて、忙しかったこともあり、
      ちょっと一杯やりに出かけました。
      いつもなら、おいしい店ページでも紹介している、
      「きさちゃん帝国」という焼鳥屋さんに行くことが多いのですが、
      この日は正月休み。
      でも、きさちゃんこと木佐貫さんに、夕方食べにお越しいただいたので、
      流れで、ぜひご一緒したい気分。
      ところが、携帯が繋がりません。
      気分を変えて、古出来町「三浦屋」三浦君と、清水口「市川屋」森川君という、
      うどん屋三人で呑みました。
      麺類業界屈指の呑ん兵衛に煽られ(煽り?)、つい杯が過ぎ(よくあることですが)、
      そろそろ帰ろうという24時ごろ、やっときさちゃんこと木佐貫さんからの電話。
      盛り上がりのまま、きさちゃん御用達の千種「じょーじ屋」デビューを飾りました。
      さらに杯が進むこと数時間、やっと到着のきさちゃんに写真を撮られ、
      おまけにブログに載せられてしまいました
      へべれけ状態の三代目角丸、ネット初公開です。
      手前が三浦君、奥で眼を剥いているのが森川君です。

      あれほど勉強家のきさちゃんに、手放しでお褒めのコメントをいただいたのは嬉しいのですがね…。
      今度、きさちゃんのへべれけ画像もネット公開してやろう、と密かに考える今日でした。

      きさちゃんは下水工事を終え、今日から営業です。
      ここの焼鳥は、本当に旨いと思います。お勧めです。
      ←きさちゃん帝国ブログはこちら

      しょうもない話ですいません。
      次回は、リクエストの多い、まずいラーメンの話を書きます。


1月6日 明けましておめでとうございます。
     本年もよろしくお願いいたします。

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     4日に仕込みをしまして、昨日5日より営業を始めました。
     好調だった年末をベースに、今までになくたくさん仕込んでおいたのですが、
     5日はすべて売り切れてしまいました。
     ありがとうございます。

     暮れ、正月、毎日たくさんの「今日は営業してますか」電話をいただきました。
     一日に何十件もいただいて、その都度、がっかりした声をお聞きし、
     申し訳ない気持ちになりました。
     みなさんに愛していただいて、本当に幸せなことだと思っております。
     これからもずっとご贔屓いただけるよう、おいしいものを精一杯つくって参りたいと存じます。

     ●

     友人からの年賀状に、「気まぐれな更新を楽しみにしている」とありました。
     今年こそ、気まぐれと言われない程度の更新を目指したいと思います。
     本年が、皆様にとっても、私どもにとっても、よい年でありますように…